[市況]
5日の、NYDowとNASDAQは下落しました。6日の日経平均先物は、前日比60円安で寄り付きましたが、前場は徐々に値を上げる展開となりました。後場寄り後に40円高まで上げた後は軟調に推移しましたが、引け際に買われ、最終的に30円高で終わりました。日経平均は11円安で引け、出来高は15.8億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、3210万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
5日の米国市場では、朝方発表された失業保険申請件数が市場予想に反して増加したことが、6日発表の雇用統計への警戒感につながりました。また、主要小売り28社が発表した7月の既存店売上高が全体で前年同月比2.9%増と市場予想の3.1%を下回ったことや、1-6月期決算を受けてバークレイズ銀行のADRが大幅安となったことなどで、NYDowは67ドル安まで下げ幅を広げる場面がありました。ただ引けにかけては前日終値近辺に下げ渋りました。
6日の日本市場では、米国市場安や、円高推移を受けて、朝方は売りが優勢となりました。ただ、売り一巡後は次第に下げ渋り、後場に入ると上昇へ転じる場面がありました。その後は上値追いへの手掛かり材料が欠けるものの、アジア市場の底堅い推移もあり、大引けにかけては9600円台前半で膠着感を強めました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は-6.5%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-5.4%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、25日線、9日線、200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.5ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.15ポイント割高となり、ほぼ均衡しています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、7月のISM製造・非製造業景況感指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、7月の既存店売上高、7月の連銀景気指数、6月の耐久財受注、7月の消費者信頼感指数、は予想以下となりました。6月の失業率は9.5%と減少したものの、雇用者数が12万人減と事前予想の10万人減より増えやや弱材料となりました。一方、住宅関連では、6月の新築住宅販売件数は予想以上で、6月の中古住宅販売件数が市場予想ほど減りませんでしたが、6月の住宅着工件数が予想以下となりました。5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.5%で予想を上回りました。6月の景気指標と住宅関連指標は悪化しましたが、7月はやや改善しています。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めと、人民元弾力化の影響は、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の資本不足問題は解消したものの、変って、ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいますが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安はひとまず落ち着いたようですが、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、重要不足から世界景気の後退リスクも出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 08月03日 0.4347% → 08月04日 0.4241% → 08月05日 0.4181%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でMAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は5日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.10ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.2、PBRが1.12、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場に連動した動きとなりました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均は70円の割安で、割安幅は拡がりました。プレミアム値は、ここ1週間、-190円 ~ +70の間で推移しています。日本市場は、円安推移で米国市場より弱い動きがやや改善しました。今夜の米国市場は、7月の雇用統計が注目されそうです。欧州銀行のストレステスト通過後の米国市場では、景気後退懸念が主テーマとなってきた面があり、経済指標の発表に敏感に反応しています。日本市場は円安進行を好感し、下げ渋る展開となりました。日経平均は、ここ数日上昇に転じた25日線がサポートラインとなっていることで安心感があります。米国市場ではNYDowが一目均衡表の上に抜けましたがNasdaqは、依然として一目均衡表の雲の中に在ります。まだ、正念場が続いていると見た方が良いと思います。日本市場は、為替に敏感に反応していますが、為替は米国のマクロ経済指標に影響されているようです。引き続き、目先の日経平均は米国経済指標の内容次第で、為替と共に神経質な展開が続きそうです。今夜の雇用統計の発表で、円安推移が定着するか否かが、ここからのポイントになりそうです。
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