[市況]
11日の、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。12日の日経平均先物は、前日比160円安で寄り付きました。前場は小動きながら、さらに値を下げる展開となりました。後場は寄り付きに230円安まで下げる場面がありましたが、その後は値を戻す展開となり、最終的に90円安で終わりました。日経平均は80円安で引け、出来高は19.0億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1100万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態です。
11日の米国市場では、中国の7月の工業生産が前年同月比伸び率が縮小するなど、中国景気の減速で世界の景気回復が鈍化するとの警戒感が出たことや。6月の米貿易収支で貿易赤字が市場予想以上に拡大し、4-6月期の実質GDPが大幅に下方修正されるとの警戒感から景気敏感株が下落しました。アジア・欧州株が下落し、ユーロが対ドルで大幅に下落するなど、悪材料が重なり、株価指数は大幅安となりました。
12日の日本市場では、米国市場安や円高進行を受け、朝方から輸出企業を中心に売りが優勢となりました。売り一巡後もジリジリと下げ、アジア市場の軟調推移を受けた後場寄り直後には下げ幅が一時230円近くへ達し、取引時間中の年初来安値を更新したものの、その後は政府による為替市場への介入思惑が高まり、大引けにかけては下げ幅を縮小させました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-18.9%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-9.4%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。NASDAQは、9日線の下の上に在り、25日線、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変りました。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は2.3ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、5月に改訂されたOECDの2010年予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.3ポイント割安となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2010年の実質GDP成長率見通しを下方修正し、米国の4-6月期のGDPは縮小ぎみです。一方、4-6月期決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、7月のISM製造・非製造業景況感指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、6月の消費者態度指数、などは市場予想を上回りましたが、7月の既存店売上高、7月の連銀景気指数、6月の耐久財受注、7月の消費者信頼感指数、は予想以下となりました。7月の失業率は9.5%と変わらないものの、雇用者数が事前予想以下となりました。一方、住宅関連では、6月の新築住宅販売件数は予想以上で、6月の中古住宅販売件数が市場予想ほど減りませんでしたが、6月の住宅着工件数が予想以下となりました。5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は+0.5%で予想を上回りました。7月の景気指標と住宅関連指標はやや改善しましたが、8月はやや弱い内容です。中国の景気減速懸念も出てきました。ギリシャを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生んでいますが、ストレステスト通過により、欧州の銀行による金融不安はひとまず落ち着いたようです。しかし、根本的な解決には時間が掛かりそうです。G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクも出てきました。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、LIBORドル3ヶ月物金利の推移は 08月09日 0.4044% → 08月10日 0.3978% → 08月11日 0.3844%と低下傾向です。ちなみに、急落前の05月03日は0.346%でMAXは6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は11日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.85ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.6、PBRが1.09、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均は110円の割安で、割安幅は縮まりました。プレミアム値は、ここ1週間、-270円 ~ -10の間で推移しています。今日は午後に円安が進み、日本市場は米国市場より弱い動きが改善しました。やっと政府と日銀が動きだす気配によるものですが、どこまで本気か疑問です。今夜の米国市場は、新規失業保険申請件数などが注目されそうです。米国市場にも悲観論でてきましたが、NYDowとNasdaqが一目均衡表の雲を下回るか否かに注目する必要が出てきました。日本市場は、政府と日銀の無策が続けば、再び円高警戒感が支配しそうですが、対応能力が試されることになりそうです。
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