[市況]
9月26日、NYDowとNASDAQは上昇しました。9月29日の日経平均先物は、前日比170円高で寄り付くと、午前中は200円高から120円安と下落に転じ、午後は100円安から80円高の間でもみあって、結局、80円高で取引を終えました。日経平均の終値は311円安の45043円で、出来高は23.41億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
9月26日の米国市場では、8月の個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想と一致する内容だったことから、「インフレ圧力は想定の範囲内であり、FRBによる追加利下げ観測を揺るがすものではない」との見方が強まり、主力株に買いが向かいました。米政権の関税政策の不透明感が嫌気されて売られる場面もありましたが、影響は限定的でした。NYDowとNASDAQは4日ぶりに反発しました。
9月29日の日本市場では、9月末の配当権利落ち分が株価を下押しするなか、足元の株価上昇が急ピッチだっただけに、配当取り後の手じまい売りや持ち高調整の売りがかさみました。外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に推移したことも重石となりました。ただ、下値では押し目買いが入り、配当落ち分の300円を考慮すると、日経平均の下げは小幅にとどまりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は+26.5%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+15.1%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+0.2ポイントとプラス幅を縮め、日平均が90円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+8.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均3650円ほど割高であることを示しています。
日経VIは25.58と前日より低下し、VIXも15.75と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.9、米国-0.1と日本が3.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+4.3)は1.8ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.97ポイント(日経平均換算で25000円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.8%増で、改定値の3.3%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
8月の耐久財受注、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の小売売上高、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月の鉱工業生産指数、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが緩やかになるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは利下げに慎重な姿勢を崩していませんが、9月のFOMCで利下げの再開を決定し、さらに年内に2回の利下げを見込んでいます。ECBは、9月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、9月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。一方で、保有している上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を段階的に売却していく方針を示しました。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが18.14、PBRが1.61となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.4%で、こちらは3か月前より3.4ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.0%となり、日経平均の割高幅は970円から420円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+420円~+1240円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.55ポイントから2.52ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
9月29日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。カーニバルやジェフリーズ・フィナンシャルなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを690円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在45480円近辺)が上値の目安に、25日線+600円(現在44410円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、強い状態です。日経平均は2日続落しました。目先、ピークアウトしたようなので、25日線を下回らずに反転できるかどうかが、次の注目点です。
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