[市況]
9月8日、NYDowとNASDAQは上昇しまた。9月9日の日経平均先物は、前日比240円高で寄り付くと、午前中は一時530円高まで上昇したのち20円高まで上昇幅を縮め、午後は110円高から230円安と下落に転じて、結局、100円安で取引を終えました。日経平均の終値は184円安の43459円で、出来高は19.80億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
9月8日の米国市場では、労働市場の減速を背景に9月利下げ観測が強まるなか、利下げが米経済を支えるとの期待から、幅広い銘柄に買いが優勢となりました。ただ、8月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の発表を間近に控えて様子見ムードが強まり、買いが手控えられる場面もありました。結局、NYDowとNASDAQは反発しました。
9月9日の日本市場では、前日の米株式相場がハイテク株を中心に上昇した流れが引き継がれ、値がさの半導体関連株など主力株に買いが先行しました。日経平均は節目の4万4000円を上回って取引時間中の最高値をつけましたが、買い一巡後は過熱感から利益確定の売りが膨らみ、急速に伸び悩みました。外国為替市場で円相場が強含んだことも重石となりました。結局、日経平均は4営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+22.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+12.2%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-0.3ポイントとマイナスに戻り、日平均が130円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+6.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均2870円ほど割高であることを示しています。
日経VIは24.60と前日より低下し、VIXも15.11と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.0、米国-0.1と日本が3.9ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より2.86ポイント(日経平均換算で45530円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率3.3%増で、速報値の3.0%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、7月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、8月のISM製造業景況指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが下がるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2.2万人増で、市場予想の7.5万人増を下回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.2%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.88、PBRが1.58となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.5%で、こちらは3か月前より4.2ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.5%となり、日経平均の割高幅は550円から650円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1000円~+650円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.53ポイントから2.51ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
9月9日の米国市場では、アップル開催のイベントのほか、シノプシスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを200円ほど上回り、下値は想定ラインを380円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-200円(現在43990円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-400円(現在42980円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は弱い状態です。日経平均は、終値では8月19日の高値(43876円)を上回ることはできませんでした。個別銘柄は買われ過ぎの水準にあり、目先、一服する可能性が高そうです。
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