[市況]
9月2日、NYDowとNASDAQは下落しまた。9月3日の日経平均先物は、前日比230円安で寄り付くと、午前中は320円安から50円安の間で上下し、午後は160円安から480円安と下落幅を拡げて、結局、340円安で取引を終えました。日経平均の終値は371円安の41938円で、出来高は22.36億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
9月2日の米国市場では、連邦控訴裁判所がトランプ政権の関税の大半を違法とする判決を下したことや、財政不安を背景に長期金利が上昇したことなどが相場の重石となり、株価は調整色を強めました。ただ、8月のISM製造業景況指数が前月比で改善されたことが伝わると、米景気の底堅さが意識され、投資家心理を支えました。NYDowとNASDAQは続落しました。
9月3日の日本市場では、前日の米国市場で主要3指数がそろって下落した流れを受け、半導体関連株を中心に売りが優勢となりました。午後には東京エレクトロンやソフトバンクグループなど指数寄与度の高い銘柄への売りが強まり、相場の重石となりました。銀行や保険など金融セクターの下落も目立ちました。日経平均は反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
総合乖離率は+12.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+8.5%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、-1.6ポイントと前日比横ばいで、日平均が670円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+3.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均1430円ほど割高であることを示しています。
日経VIは24.72と前日より上昇し、VIXも17.17と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.1、米国+0.1と日本が4.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.11ポイント(日経平均換算で50020円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナをめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率3.3%増で、速報値の3.0%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、7月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、8月のISM製造業景況指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比7.3万人増で、市場予想の10.8万人増を下回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+2.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策は:
FRBは米政権の高関税政策がインフレを招きかねないと警戒しており、利下げを急がない姿勢を示しています。ECBは、7月の会合では利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、7月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.49、PBRが1.55となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-6.5%で、こちらは3か月前より4.0ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.3%となり、日経平均の割安幅は660円から1000円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1000円~+230円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.67ポイントから2.66ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。
9月3日の米国市場では、7月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数、7月の製造業受注、地区連銀経済報告(ベージュブック)のほか、セールスフォース、ダラー・ツリー、キャンベル・スープ、メーシーズ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを460円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、25日線+200円(現在42370円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在41380円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は強まりました。日経平均は反落し、25日線を下回りました。上昇基調に戻れる可能性は低くなり、下落基調はしばらく続きそうです。
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