日経平均の予想: [2011/06/12]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, June 11, 2011

[2011/06/12]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、欧州の財政問題や経済指標の悪化で、下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は2.0ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの14.7との差と日米金利差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が1.1%程度になることが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、原油価格など商品相場の行方や5月の小売売上高、5月の鉱工業生産の発表などが株式相場に影響しそうですが、弱含みで、軟調な相場が続きそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は+16.7%となり、今期ROE予想値は7.9%から7.4%へ悪化しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は1.87%~1.84%と縮小傾向で、為替は80円から79円台ともみ合う動きでした。今週は80から78円台で円高ぎみの動きが予想されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.9%で、米国は+2.6%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 6月1週は買い越しで6月2週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①②③が弱気材料でした。今週は、①③⑤と地震災害による②④が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、3.1ポイント割安となり、先週比4.1ポイント割安幅(弱い動き)が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-3.2%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。総合乖離率は-6.5%となりマイナス幅が縮小しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、”赤信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上げなどのリスクはやや後退しているもののEU財政問題、不動産市場の低迷、景気・雇用指標の停滞が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドとなっています。日本市場は中期下降トレンドで短期は下降トレンドです。
目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。一方、先週の日米金利差は縮小したものの、為替はもみ合いとなっています。
今週の日経平均も、米国市場や為替の動き、などを睨んだ動きとなりそうです。米国市場では目先は調整局面を迎えていますが、企業業績が好調なことや、QE3思惑が浮上していることから、11000ドルを下回るような深押しは考えにくい環境です。一方、日本市場では、3月期決算発表は終了し、欧米市場の動きが与える影響が、より大きくなりそうですが、このところ米国市場より下げ渋る動きが続いています。テクニカルな視点での日経平均は、中期・短期とも下降トレンドです。目先は25日線(現在9580円)とボリンジャーバンド-2σ(現在9325円)近辺の間でのレンジ相場が想定されますが、円高が進んだ場合は3月22日に空けた窓の窓埋めとなる9275円近辺が抵抗ラインとして意識されることも考えられます。


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。
右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら=>世界の市場のリアルチャート

注目銘柄、日経平均チャートについてはYS総合研究所HPも参考にしてください。