[市況]
25日のNYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。26日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付き、午前中は60円安と120円安の間の動きとなりました。午後も軟調に推移し150円安となる場面がありましたが、最終的に130円安で取引を終わりました。日経平均は113円安で引け、出来高は13.4億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、330万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
25日の米国市場では、3月の新築住宅販売件数は30万戸と、28万戸程度の市場予想を上回りましたが、相場全体への影響は限定的でした。また、原油が下落したことで、素材やエネルギー株が売られ、相場全体の重荷になりました。27日のバーナンキFRB議長による記者会見を控え、様子見気分が強まりました。
26日の日本市場では、円相場の上昇で、自動車株や電機株など主力株を中心に企業業績の先行きに対する不透明感を背景にした売りが出ました。一方、通信株やネット関連株の一角が買われました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は-8.6%とマイナス幅は拡がりました。200日線との乖離率は-2.6とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が13.5ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 1.1ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.25ポイント割安となっています。
市場は現在、「福島原発の行方」、「中東・北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、出口に関する発言も出始めました。米国の10-12月期のGDPは年率で3.1%でした。1-3月期の主要企業の決算発表が始まり、ここまでのところ決算内容に警戒感が出ていましたが、好調なIT関連の発表で支援材料に変わりました。経済指標では、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者態度指数、4月のニューヨーク連銀景気指数、3月のISM製造業景況感指数、2月の個人消費支出などは市場予想を上回りましたが、4月のフィラデルフィア連銀景気指数が前月比で大幅低下し、3月の小売売上高は前月比で市場予想ほど増加せず、3月のシカゴ購買部協会景気指数は小幅に低下し、2月のISM非製造業景況感指数、2月の耐久財受注は予想以下となりました。3月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が216,000人増と市場予想以上となり、失業率も8.9%から8.8%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、3月の新築住宅販売件数、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は予想以上でしたが、2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新しました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-3.1%と1年ぶりの大幅低下となりました。昨年9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、4月28日のFOMCで方向が修正されるか否かが注目されます。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。金融不安の気配を知る上で、金融機関間の金利、株価の推移や金融機関の業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は04月19日 0.2737% → 04月20日 0.2737% → 04月21日 0.2737%となり低水準で横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は25日、下落しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.52ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.0、PBRが1.11、ROEが7.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%となり、日経平均は20円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-50円 ~ +140円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きに転換ました。
米国市場は、中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期横ばいで、短期は下降トレンドです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.15%と縮まり、為替はやや円高方向となっています。一方、米国市場は調整局面を抜け出したようですが、今夜の米国市場は、2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、4月の消費者信頼感指数やコカ・コーラー、フォード・モーター、アマゾン・ドット・コムの決算発表が注目されそうです。
ここからは、米国市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日経平均は、いずれ、震災の企業業績に与える影響やGDP低下懸念も問題となり、二番底を探る動きとなりそうですが、その時期は米国市場高に助けられて、当面遠のいたようです。ここからも1-3月期の日・米企業の決算発表内容が市場の関心事となりそうです。日経平均は目先の価格レンジとして、引き続き9750円と9550円の間の動きが想定されますが、その先は、再び200日線(現在9810円)を超えられるかが関心事です。
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