[市況]
14日のNYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。15日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付き、午前中は70円安と10円高の間の動きとなりました。午後は売りが優勢となり、最終的に90円安で取引を終わりました。日経平均は62円安で引け、出来高は20.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、300万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関してはやや「買い」が有利な状況です。
14日の米国市場では、朝方発表の週間の新規失業保険申請件数が2ヶ月ぶりの水準まで悪化したことや、ギリシャ財政への懸念の高まりもあってNYDowは下げ幅を100ドル超まで拡大する場面がありました。ただ、好決算への期待も根強く、午後中ごろには上昇に転じ、大引けでは小高く終了しました。
15日の日本市場では、福島原発の事故処理に目立った進展がなく、3月期決算の発表本格化を控えていることもあり、模様眺めムードが支配しました。東日本大震災で寸断されたサプライチェーンの復旧が材料視されている面があるものの、上値を追う向きは少なく一進一退の膠着感の強い展開が続きました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は-7.5%とマイナス幅は拡がりました。200日線との乖離率は-2.2とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が11.4ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 0.5ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.26ポイント割安となっています。
市場は現在、「福島原発の行方」、「中東・北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、出口に関する発言も出始めました。米国の10-12月期のGDPは年率で3.1%でした。1-3月期の主要企業の決算発表が始まりましたが、決算内容は悪くないものの先行き警戒感が出ています。経済指標では、3月のISM製造業景況感指数、2月の個人消費支出、3月のフィラデルフィア連銀景気指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月の既存店売上高などは市場予想を上回りましたが、3月の小売売上高は前月比で市場予想ほど増加せず、3月のシカゴ購買部協会景気指数は小幅に低下し、2月のISM非製造業景況感指数、2月の耐久財受注は予想以下となりました。3月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が216,000人増と市場予想以上となり、失業率も8.9%から8.8%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新し、2月の中古住宅販売件数は、前月比9.6%減と予想以下となり、2月の住宅着工件数が2ヶ月連続で大幅に減少し、市場予測も下回わりました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-3.1%と1年ぶりの大幅低下となりました。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は04月12日 0.2807% → 04月13日 0.2780% → 04月14日 0.2780%となり低水準で低下傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は14日、下落しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.43ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.2、PBRが1.12、ROEが7.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下落しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均は50円の割安で、割安幅が拡がりました。プレミアム値は、ここ一週間、-380円 ~ +50円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は弱い動きがやや拡大しました。
米国市場は、中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期はもみ合いとなりました。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.22%と拡がったものの、為替はやや円高方向となっています。一方、米国市場はここ数日弱含みな動きとなっています。今夜の米国市場は、3月の消費者物価、4月のNY連銀製造業景気指数、3月の鉱工業生産、4月ミシガン大学消費者信頼感指数やバンク・オブ・アメリカの決算が注目されそうです。
ここからは、原発問題の影響や米国市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日経平均は、いずれ、震災の企業業績に与える影響やGDP低下懸念も問題となり、二番底を探る動きとなりそうです。今週からは1-3月期の米国企業の決算発表内容が市場の関心事となりそうですが、震災以来日経平均は先物主導相場が続いており、米国市場や為替との連動性が希薄です。ここからは、一定のレンジ(当面9500円~9700円)の中で一進一退の動きを見せながら、2番底に向かう動きとなりそうです。その場合の次の下値の目安は3月22日に空けた窓の窓埋めとなる3月18日の高値の9276円近辺が想定されます。しかし、上昇する動きとなった場合は200線(9810円)を上回れるか否かも引き続き重要な注目点です。
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