日経平均の予想: [2011/04/03]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, April 02, 2011

[2011/04/03]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、日本の復興需要、雇用の改善などが支援材料となり上昇しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性は残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場の下落で1.1ポイント割安となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの15.2との差と日米金利差によるものです。これは震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が0.5%下がり、2011年度の企業業績が2010年度予想値より10%程度下がることを織り込んでいるとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。今週は、原発問題、リビア・中東情勢に伴う原油高などリスク許容度の変化や日本の震災復興需要や金融緩和政策の行方が株式相場に影響しそうですが、上昇が続きそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は85%となり、今期ROE予想値は4.3%から7.9%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.2%~1.7%と縮小傾向の推移となりましたが、米国の金融緩和の出口議論が盛んになり、為替は81円から84円台と大幅円安への動きでした。今週は84から82円台と円高傾向が想定されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。ただ、震災の影響は考慮されていない数字ですので、0.5%程度の低下はありそうです。
⑤ 3月4週は買い越しで3月5週は買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③⑤が強気材料でした。今週は、①③⑤と地震災害による②④が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、12.8ポイント割安となり、先週比0.5ポイント割安幅が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-1.2%となり先週と比較してマイナス幅が縮まりました。総合乖離率は-8.7%となりマイナス幅が縮まりました。3つがマイナスですので中期トレンドは、赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在りますので、短期的には"黄信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、北アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上げなどのリスクが意識され悪材料となっていますが、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、好調な経済指標の発表が続いていることで上昇余地もある点が挙げられます。ただ、ここにきて金融緩和政策の出口を意識した地区連銀総裁の発言が不安定要因です。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期上昇トレンドです。日本市場は中期下降トレンドで、短期は横ばいです。
目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。また、先週の日米金利差は縮小したものの、為替は大幅な円安となりました。ただ、金利差は拡大していませんので、今週は円高方向に戻りそうです。
今週の米国市場では、バーナンキFRB議長講演や3月のISM非製造業景況指数、FOMC議事録の発表が注目されそうです。先週の日経平均はNYDowの動きより弱い動きが続きました。今週の日経平均も、福島原発の状況と米国市場や為替の動きを睨みながらの展開が続きそうです。先週末の米国市場高と円安で週初の日経平均は200日線の9820円近辺で始まりそうですが、その後は震災の企業業績への影響や、為替の動き、中東の地政学的リスクの高まりと原油の高騰による米国経済への影響次第で、下降する場面もありそうです。ただ、米国市場は短期、中期とも上昇トレンドですので、日経平均の大きな下落も考えづらい面があります。当面は200日線を越える動きか、跳ね返される動きになるかを見極めたいところです。


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