[市況]
13日のNYDowとNASDAQは上昇しました。14日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付き、午前中は90円安と10円安の間の動きとなりました。午後は買いが優勢となり、一時50円高まで上げる場面がありましたが、最終的に10円高で取引を終わりました。日経平均は12円高で引け、出来高は22.2億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、500万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
13日の米国市場では、3月の小売売上高は前月比で市場予想ほど増加しなかったものの、1、2月分が上方修正されたことで、好材料と受け止められました。一方、JPモルガンの決算は1株利益が市場予想を上回りましたが、今後数四半期は増配を見送ると伝わったことや一部銀行に住宅差し押さえで業務改善命令との報道で、業績の回復期待が後退して、金融株全般に売りが優勢となるなど、株価指数は安く推移する場面もありました。
14日の日本市場では、円相場が上昇し、朝方は輸出関連株を中心に売りが先行し、日経平均は9500円台半ばに下げる場面がありましたが、9500円前後では売り急ぐ動きは限られました。福島第1原発事故は収束の気配がみえず、株価の上値は追いにくいもの、下値が限定的だったため後場に入ると押し目買いが増え、日経平均は上げに転じました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上に在り、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。総合乖離率は-6.0%とマイナス幅は縮まりました。200日線との乖離率は-1.5%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下に在りますが、25日線、9日線を上回りました。
NYDowは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が10.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 0.4ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.2ポイント割安となっています。
市場は現在、「福島原発の行方」、「中東・北アフリカ情勢と原油価格」、「米国の景気と雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、出口に関する発言も出始めました。米国の10-12月期のGDPは年率で3.1%でした。1-3月期の主要企業の決算発表が始まりましたが、決算内容は悪くないものの先行き警戒感が出ています。経済指標では、3月のISM製造業景況感指数、2月の個人消費支出、3月のフィラデルフィア連銀景気指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月の既存店売上高などは市場予想を上回りましたが、3月の小売売上高は前月比で市場予想ほど増加せず、3月のシカゴ購買部協会景気指数は小幅に低下し、2月のISM非製造業景況感指数、2月の耐久財受注は予想以下となりました。3月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が216,000人増と市場予想以上となり、失業率も8.9%から8.8%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、2月の新築住宅販売件数が過去最低を更新し、2月の中古住宅販売件数は、前月比9.6%減と予想以下となり、2月の住宅着工件数が2ヶ月連続で大幅に減少し、市場予測も下回わりました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-3.1%と1年ぶりの大幅低下となりました。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、雇用もゆるやかに改善傾向ながら、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は04月11日 0.2827% → 04月12日 0.2807% → 04月13日 0.2780%となり低水準で低下傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
シティグループの株価は13日、下落しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.50ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.3、PBRが1.13、ROEが7.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動した動きとなりました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は20円の割安で、割安幅が縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-630円 ~ +20円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は弱い動きが大幅に改善しほぼ割安感は無くなりました。
米国市場は、中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期は上昇トレンドとなりました。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.18%と変わらないものの、為替はやや円高方向となっています。一方、米国市場はここ数日弱含みな動きとなっています。今夜の米国市場は、週間の新規失業保険申請件数やグーグルの決算が注目されそうです。
ここからは、原発問題の影響や米国市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日経平均は、いずれ、震災の企業業績に与える影響やGDP低下懸念も問題となり、二番底を探る動きとなりそうです。今週からは1-3月期の米国企業の決算発表内容が市場の関心事となりそうですが、震災以来日経平均は先物主導相場が続いており、米国市場や為替との連動性が希薄です。ここからは、一定のレンジ(当面9500円~9700円)の中で一進一退の動きを見せながら、2番底に向かう動きとなりそうです。その場合の次の下値の目安は3月22日に空けた窓の窓埋めとなる3月18日の高値の9276円近辺が想定されます。しかし、上昇する動きとなった場合は200線(9810円)を上回れるか否かも引き続き重要な注目点です。
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