[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、北アフリカや中東の政情不安を背景とした原油の先高観から、原材料高が個人消費と企業の収益を圧迫するとの懸念で大幅下落する動きとなりました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念と、先進国の緊縮財政と資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性は残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はS&P500のPERの低下の影響で、日本市場が0.1ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが12.8で、東証1部平均のPERの16.6との差と日米金利差によるものです。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、原油など商品相場や長期金利の推移と雇用統計が株式相場に影響しそうですが、一進一退の動きとなりそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は87%となり、今期ROE予想値は4.3%から7.7%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.3%~2.2%と縮小ぎみの推移となり、為替は83円から81円台と円高方向の動きでした。今週は82から80円台が想定されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 2月3週は買い越しで2月4週は売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①②⑤が弱気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と企業決算や中東情勢の動きが影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、7.0ポイント割安となり、先週比1.4ポイント割安幅が拡がりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は+7.1%となり先週と比較してプラス幅が縮まりました。総合乖離率は+9.0%となりプラス幅が縮まりました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には黄信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は、北アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上げ、などのリスクが意識され悪材料となっていますが、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、S&P500の今期予想PERが12.8まで低下したことや予想以上の経済指標の改善で、新たな、上昇余地が出てきた点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドですが短期は横ばいとなりました。日本市場は中期上昇トレンドですが、短期は下降トレンドです。
目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。また、昨年10月以来の米長期金利上昇は一服しており、先週の日米金利差は縮小ぎみで為替は円高方向でした。
今週の米国市場では、ISM製造・非製造業景気指数や雇用統計などの経済指標の発表が注目されそうです。先週の日経平均はNYDowの下落に連動して下げ、外人投資家も売り越しとなったようです。今週の日経平均は、目先はリバウンドが期待できるものの、先週の地合いを引継ぎ、軟調な展開が続く可能性が高かそうです。一方で、底堅さもありそうです。
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