[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、好調な企業決算や経済指標の発表に支えられて、高値を更新する動きとなりました。一方、中長期的には、先進国の消費や雇用の改善の動きは弱く、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念と、先進国の緊縮財政と資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性は残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はS&P500のPERの低下の影響で、日本市場が3.0ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが9.4で、東証1部平均のPERの17.2との差と日米金利差によるものです。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。今週は、原油など商品相場や長期金利の推移と個人消費、住宅関連指標が株式相場に影響しそうですが、堅調な動きが続きそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は87%となり、今期ROE予想値は4.3%から7.8%へ改善しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.4%~2.3%と縮小ぎみの推移となり、為替は84円から83円台とやや円高方向の動きでした。今週は82から84円台が想定されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 2月週は買い越しで2月3週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①②⑤が強気材料でした。今週も引き続き、①③⑤と企業決算や中東情勢の動きが影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、6.6ポイント割安となり、先週比2.0ポイント割安幅が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は+10.2%となり先週と比較してプラス幅が拡がりました。総合乖離率は+19.3%となりプラス幅が拡がりました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので、短期的には"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場は、欧州財政問題の再燃、資源高、新興国の利上げ、中東の政情不安などのリスクが意識されやすい面も存在しますが、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、S&P500の今期予想PERが9.4まで低下したことや予想以上の経済指標の改善で、新たな、上昇余地が出てきた点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は短期・中期上昇トレンドです。日本市場も短期、中期とも上昇トレンドです。
目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。また、昨年10月以来、米長期金利が上昇してきたことで、日米金利差が拡大し、円安方向の動きとなってきましたが、先週の金利差は縮小ぎみでした。
今週の米国市場では、住宅関連や個人消費関連の経済指標の発表が注目されそうです。先週の日経平均はNYDowの上昇に連動して上昇し、外人投資家の買い越しも続いています。今週の日経平均は、先週の地合いを引継ぎ、堅調な展開が続く中、円高ぎみの為替と高値警戒感が上値を抑えそうです
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