[市況]
23日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。24日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付き、午前中は100円安まで売られた後、寄り値まで戻す動きとなりました。午後は一時140円安まで売り直される場面がありましたが、最終的に100円安で取引を終わりました。日経平均は126円安で引け、出来高は25.8億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、920万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
23日の米国市では、原油価格が急騰して一時100ドルを付けたことが個人消費の重荷になるとの見方から、景気敏感株が売られました。売上高見通しを下方修正したHPが急落したこともNYDowの押し下げ要因となりました。一方、1月の中古住宅販売件数は市場予想に反して増加したものの、相場を支えることには繋がりませんでした。
24日の日本市場では、米国市場の弱い流れを引き継ぎ、朝方から売り優勢の展開になりました。25日線10550円水準をあっさり下回りましたが、一目均衡表の雲上限10470円水準で下げ止まったことから、前場は底堅い動きも見られました。ただ、後場は、円相場が81円台に突入したこともあり、下げ幅を拡大して取引を終えました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線の下に在り、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は+7.0%とプラス幅は縮まりました200日線との乖離率は+6.3%とプラス幅は縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 0.2ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ2.9ポイント割高となっています。
市場は現在、「中東/北アフリカの地政学的リスク」、「米国の景気と雇用状況と金融緩和の効果」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の10-12月期のGDPは年率で3.2%増加しましたが、市場予想以下でした。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、2月のフィラデルフィア連銀指数、2月のミシガン大学消費者態度指数、1月の既存店売上高、1月のISM非製造業景況感指数、1月のISM製造業景況感指数、12月の個人消費支出、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、などは市場予想を上回りましたが、1月の小売売上高、12月の耐久財受注は予想以下となりました。1月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が36000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.4%から9.0%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、1月の中古住宅販売件数は市場予想に反して増加し、1月の住宅着工件数が前月から大幅増となり、12月の新築住宅販売件数も予想以上でしたが、12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-2.38%と予想内であったもののマイナスでした。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向で、ここに来て住宅関連も改善の兆しが見えますが、雇用は停滞ぎみです。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は02月21日 0.3125% → 02月22日 0.3125% → 02月23日 0.3115%と低水準横ばい傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は23日、小幅上昇しました。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.70ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.1、PBRが1.24、ROEが7.7%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率よりは小幅の下げでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は20円の割安で、割安幅は縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-290円 ~ +60円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は改善しました。
米国市場は、中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドとなりました。一方、日経平均も中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルには米国の長期金利上昇と企業収益改善で割高になっています。短期的には、地政学リスク、為替の変化、欧州財政問題、米経済指標、上海市場の動きに左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、今後も円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が前提条件として必要です。
LIBORのドル3ヶ月物金利はやや上昇してきたものの、低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.27%と拡がったものの、円高で推移しています。一方、米国市場では、このところ雇用は停滞を示す中、住宅関連や企業業績は概ね好調で支援材料となっていますが、目先はリビア情勢に伴う原油高が弱気材料として勝っています。今夜の米国市場は、週間の新規失業保険申請件数、1月の耐久財受注、1月の新築住宅販売件数などの経済指標の発表と原油相場が注目されそうです。
ここからも、北アフリカと中東情勢や米市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日経平均は目先の下値目処の25日線を下回り2月3日の窓埋めを達成しましたので、目先はリバウンドが期待できますが、日柄からは下げが、まだ続く可能性が高そうです。さらに下げた場合は75日線や2月1日の窓埋めとなる10300円近辺が次の目処となりそうです。
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