[市況]
15日のNYDowとNASDAQは下落しました。16日の日経平均先物は、前日比20円高で寄り付き、その後も買いが優勢となり、午後12:50頃に100円高を付ける場面がありました。その後は売りに押され、最終的に60円高で取引を終わりました。日経平均は61円高で引け、出来高は26.1億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、70万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状況です。
15日の米国市場では、1月の小売売上高は前月比0.3%増で、7ヶ月連続で前月実績を上回りましたが、伸び率は市場予測の平均値である0.6%程度を下回ったことで、個人消費の回復力が弱いとの見方が浮上しました。輸入物価指数が市場予想を上回って上昇したことも消費の先行きに対する警戒感を強め、投資家心理を冷やす一因となりました。
16日の日本市場では、米国市場安は、特に悪材料視されませんでした。国内企業業績の改善傾向に加え、円相場が83円台後半に下落したことも買い安心感を誘いました。このところ上昇基調にある大手銀行株が上げたほか、保険やその他金融、証券株なども買いを集め、日本株の出遅れ感に着目した海外勢の買いが入ったようです。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+18.9%とプラス幅は拡がりました200日線との乖離率は+9.8%とプラス幅は拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.1ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.2ポイント縮まりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ0.5ポイント割高となっています。
市場は現在、「中東の地政学的リスク」、「米国の景気と雇用状況と金融緩和の効果」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中です。米国の10-12月期のGDPは年率で3.2%増加しましたが、市場予想以下でした。10-12月期の主要企業の決算発表内容は概ね好調です。経済指標では、2月のミシガン大学消費者態度指数、1月の既存店売上高、1月のISM非製造業景況感指数、1月のISM製造業景況感指数、12月の個人消費支出、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のフィラデルフィア連銀景気指数などは市場予想を上回りましたが、1月の小売売上高、12月の耐久財受注は予想以下となりました。1月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が36000人増と市場予想より小幅な伸びでしたが、失業率は9.4%から9.0%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売は予想以上でしたが、12月の米住宅着工件数は予想以下でした。また、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-1.6%と1年ぶりの大幅なマイナスになりました。9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向ですが、雇用と住宅関連は停滞ぎみです。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBの低金利政策と大幅なドル供給策は継続され、相場の支援材料となっていますが、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。引き続き、金融機関間の金利、株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、金融不安の指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は02月11日 0.3130% → 02月14日 0.3140% → 02月15日 0.3135%とゆるやかに上昇しつつあるものの低水準です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.5392%でした。
シティグループの株価は15日、変わらずでした。(一昨年1月高値7.59ドル・一昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.91ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが16.5、PBRが1.28、ROEが7.8%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも関わらず上昇しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は70円の割安で、割安幅は縮まりました。プレミアム値は、ここ一週間、-240円 ~ -30円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は大幅に縮小しました。
米国市場は、中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均も中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルには米国の長期金利上昇と企業収益改善で割高になっています。短期的には、為替の変化、欧州財政問題、米経済指標、上海市場の動きに左右される相場が続きそうです。日経平均の上昇の為には、今後も円安方向への動きや米国市場の一段高などの支援材料が前提条件として必要です。
LIBORのドル3ヶ月物金利はやや上昇してきたものの、低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は2.27%と縮まり、やや円高気味に推移しています。為替は中東の地政学的リスクを意識した動きから、日米金利差に連動する動きに戻ったようです。一方、米国市場では、このところ雇用や住宅関連では停滞を示す中、企業業績は概ね好調で支援材料となっていますが、景気関連にやや停滞を示すものも出てきました。今夜の米国市場は、1月の住宅着工件数、1月の鉱工業生産、FOMC議事録公開などの経済指標の発表が注目されそうです。
ここからも、米市場をにらみながら、為替と外人投資家の動向が鍵となりそうです。日米とも短期トレンドに青信号が点灯しており、日経平均は高値更新して上昇基調は継続していると思われます。一方、米国市場は連休を控えて高値もみ合いが予想されます。日米金利差縮小による円高ぎみの為替の推移と今日の米国市場に先行した上昇の反動で、日経平均は目先一服する場面もありそうです。
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