[市況]
24日のNY DowとNASDAQが下落したことを受けて、25日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付き、前場に230円安まで下げる場面がありました。後場は戻り歩調となり、最終的に前日比150円安で終わりました。日経平均は278円安で引け、出来高は19.7億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は620万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。
24日の米国市場では、前日の下げから自律反発の買いが入り、高く始まったものの、8月の中古住宅販売件数が前月比2.7%減の年率換算510万戸と、市場予想に反して5ヶ月ぶりの減少となったことが嫌気され売りが膨らみました。原油が大幅に続落したこともあり、住宅株や素材株や景気敏感株にも売りが広がりました。
25日の日本市場では、前日上昇の反動で利益確定売りが優勢となりました。野村HDによる巨額公募増資の実施発表が需給悪化懸念を誘い、相場を押し下げました。やや円高が進んだことも重しとなり、一時300円超の下げ幅となる場面もありました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線、25日線を下回りましたので、短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。一方、日経平均の総合乖離率は+14.2%となり、プラス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+13.4%となり、プラス幅は縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線を下回りました。
NY Dowは200日線、75日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線の上に在りまが、9日線を下回りました。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.2ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米企業の4-6月決算は順調で、4-6月期の米GDPや8月の景気指数も大幅に改善しています。8月の雇用統計も改善しました。8月の小売売上高が予想以上となり、消費関連経済指標も改善の兆しが出てきました。しかし、住宅関連指数は再び減速感が出てきました。また、米国の設備投資の伸びなやみは足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。一方、主要金融機関の4-6月期業績は概ね順調で、FRBも当面低金利政策維持の方向です。しかし、米地銀の不良債権問題はくすぶっています。9月に入り、大手金融機関の不良債権問題も蒸し返しの兆しが少し見えてきました。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は24日、下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.43ドル)61.8%戻しを達成後下落しています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは40.1となりました。PBRは1.30となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの下落率以上に下げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%(30円の割安)となっており、日経平均のプレミアムはマイナス転換しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-170円~-+120円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して下振する動きとなりました。
米市場の短期トレンドは黄信号となり、日本市場は赤信号となりました。ドル・ベースの日経平均は、NY Dowにほぼ連動する形です。円ベースでの日経平均下振れして250円程度割安に拡大しました。今夜の米国市場では8月の耐久財受注や9月の消費者信頼感指数が注目されそうです。日・米市場とも、短期的には正念場を迎えたようですが、米国市場が9日線を上回る動きとなれば、来週の週初は。米国市場より上振れする動きとなりそうです。
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