[市況]
16日のNY DowとNASDAQが上昇したことを受けて、17日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付きましたが、後場開始直後に90円高まで上昇幅を縮めました。その後上昇に転じ、最終的に前日比170円高で終わりました。日経平均は173円高で引け、出来高は20.0億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は980万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。
16日の米国市場は、金が過去最高値を更新し、原油などの商品相場も上昇したことで、素材やエネルギー株が買われました。また、8月の鉱工業生産指数が前月比で市場予想以上に上昇し、7月分も上方修正されたことで、景気回復への期待が一段と強まり、金融や消費循環など景気敏感業種を中心に買いが優勢となりました。
17日の日本市場では、米市場高と円高一服が好感されたほか、7-9月期の大企業景況判断指数が改善基調を示したことも投資家心理の改善に繋がったようです。ハイテク株や資源関連株を中心に買いが優勢となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線を上回りましたので、短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。一方、日経平均の総合乖離率は+20.3%となり、プラス幅が拡大しました。200日線との乖離率は+15.8%となり、プラス幅は拡大しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。
NY Dowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。
日・米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.6ポイント割安にある状態となり、テクニカル面の割安幅は若干縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が3.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米企業の4-6月決算は順調で、住宅関連指数は底打ち感が顕著になってきています。4-6月期の米GDPや8月の景気指数も大幅に改善しています。8月の雇用統計も改善しました。8月の小売売上高が予想以上となり、消費関連経済指標も改善の兆しが出てきました。しかし、米国の設備投資の伸びなやみは足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。一方、主要金融機関の4-6月期業績は概ね順調で、FRBも当面低金利政策維持の方向です。しかし、米地銀の不良債権問題はくすぶっています。9月に入り、大手金融機関の不良債権問題も蒸し返しの兆しが少し見えてきました。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は16日、上昇しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.20ドル)61.8%戻しを達成後下落しています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは41.0となりました。PBRは1.32となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの上昇率以上に上げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%(90円の割安)となっており、日経平均のプレミアムはマイナス幅が若干縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-210円~-+130円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して上振する動きとなりました。
米市場の短期トレンドは青信号ですが、日本市場も青信号となりました。ドル・ベースの日経平均は、NY Dowにほぼ連動した動きとなっています。今日は円高警戒感が少し後退したようですが、まだ、円高警戒感が円ベースでは日経平均を300円程度割安にしている状況は続いています。今夜の米国市場では8月の住宅着工件数、9月の製造業景気指数などが注目され、堅調な推移が予想されますが、日本市場は、円が一旦90円を割った後円安に戻らないと警戒感が無くならないようですので、明日も連休を控えて、為替の動きを睨んで先物主導の動きが続きそうです。
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