[市況]
10日のNY DowとNASDAQは上昇しましたが、11日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付きました。前場に20円高まで買われる場面がありましたが、後場に110円安まで売られ、最終的に前日比70円安で終わりました。日経平均は69円安で引け、出来高はSQ日で27.9億株に増加しました。寄り付き前の外国人は60万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、”買い”が有利な状態です。
10日の米国市場は、P&Gが10-12月期の売上高が3四半期ぶりに増加に転じるとの見通しを示したことが好感されたことや、IAEが09年と10年の世界の石油需要見通しを引き上げ、原油が上昇したことでエネルギー株も買われ、株価指数が上昇しました。
11日の日本市場では、米市場高が好感された半面、円高が重しになりました。朝方は9月限SQ値算出に伴う動きでしたが、SQ推定値10541円近辺での上値の重さが意識されました。後場に入って一段と円高が進行したことが嫌気されました。一方、25日移動平均線での底堅さから、引けにかけては下げ渋ぶりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+20.9%となり、プラス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+16.3%となり、プラス幅は縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。
NY Dowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、7.0ポイント割安にある状態となり、日米市場のテクニカル面の割安幅は拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタルには、日本市場が3.9ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米企業の4-6月決算は順調で、住宅関連指数はさらに底打ち感が顕著になってきました。4-6月期の米GDPや8月の景気指数も大幅に改善しています。8月の雇用統計も改善しました。一方、消費関連経済指標は相変わらず景気の弱さを示しており、米国の設備投資の伸びなやみが足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。しかし、主要金融機関の4-6月期業績は概ね順調で、FRBも当面低金利政策維持の方向です。しかし、米地銀の不良債権問題はくすぶっています。9月に入り、大手金融機関の不良債権問題も蒸し返しの兆しが少し見えてきました。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は10日、上昇しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.75ドル)61.8%戻しを達成後下落しています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは41.2となりました。PBRは1.33となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円高が影響し、NY Dowの上昇のも関わらず下落しました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.4%(40円の割高)となっており、日経平均のプレミアムはプラス幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-110円~-+160円の間で推移しています。日経平均は、NY Dowの動きに対して、下振する動きとなりました。
日・米市場とも短期トレンドは青信号です。今日は想定どおり、SQを通過したことで、改めて円高を嫌気して下げました。円高により、ドル・ベースの日経平均は強い動きが続いています。円高が日本市場を割安にしていると考えられます。今夜の米国市場では9月のミシガン大学消費者信頼感指数が注目されそうです。来週の週初も米国市場の動きより為替の動きが注目されそうです。
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