[市況]
14日のNY DowとNASDAQが上昇したことを受けて、15日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付き、前場に80円高まで上昇しましたが、その後下落に転じ40円安まで売られました。後場は小動きとなり、最終的に前日比10円高で終わりました。日経平均は15円高で引け、出来高は15.6億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は20万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。
14日の米国市場は、中国製タイヤへの上乗せ関税の実施を発表に対抗して、中国も米国の鶏肉製品などについて不当廉売調査手続き開始と発表したことが悪材料となり売りが先行しましたが、前週末に業績見通しを上方修正した貨物大手のフェデックスが上昇したことなどで、次第に買い優勢になりました。
15日の日本市場では、Nasdaqが年初来高値を更新したことや、円高一服も好感され、朝方は買いが優勢でしたが、円高警戒感も根強く、次第に売りが優勢となりました。ただ、前日安値10170円を前に押し目買いが入り、後場は方向感に乏しい展開となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+13.8%となり、プラス幅が拡大しました。200日線との乖離率は+13.5%となり、プラス幅は変化ありません。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線、9日線、一目均衡表の雲の上に在ります。
NY Dowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、9.9ポイント割安にある状態となり、日米市場のテクニカル面の割安幅は拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、9月に改定されたOECDの2009年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタルには、日本市場が3.7ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米企業の4-6月決算は順調で、住宅関連指数はさらに底打ち感が顕著になってきました。4-6月期の米GDPや8月の景気指数も大幅に改善しています。8月の雇用統計も改善しました。一方、消費関連経済指標は相変わらず景気の弱さを示しており、米国の設備投資の伸びなやみも足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。しかし、主要金融機関の4-6月期業績は概ね順調で、FRBも当面低金利政策維持の方向です。しかし、米地銀の不良債権問題はくすぶっています。9月に入り、大手金融機関の不良債権問題も蒸し返しの兆しが少し見えてきました。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は11日、下落しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.52ドル)61.8%戻しを達成後下落しています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは40.4となりました。PBRは1.30となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、円安ぎみ推移にも関わらず、NY Dowの上昇率ほどは上げませんでした。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.4%(150円の割安)となっており、日経平均のプレミアムはマイナス幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-210円~-+160円の間で推移しています。日経平均は、今日もNY Dowの動きに対して、下振する動きとなりました。
米市場の短期トレンドは青信号ですが、日本市場は赤信号となっています。今日も、円高警戒感が残る展開でした。一方、ドル・ベースの日経平均はまだ移動平均の上にあり、強い動きが続いています。引き続き、円高警戒感が日本市場を割安にしていると考えられます。今夜の米国市場では8月の小売売上高や 9月のNY連銀製造業景気指数などが注目されそうです。一旦90円を割らないと警戒感が後退しないような感じです。明日も米国市場より為替の動きが注目されそうです。
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