[市況]
10月22日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。10月23日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付くと、午前中は110円高から120円安の間で上下し、午後は40円安から440円安と下落幅を拡げて、結局、360円安で取引を終えました。日経平均の終値は307円安の38104円で、出来高は16.80億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
10月22日の米国市場では、長期金利の高止まりが重石となり、主力株に売りが出ました。短期的な過熱感も意識されました。一方で、発表が本格化している主要企業の四半期決算が好調との見方が投資家心理を支えました。IMFが24年と25年の米国の経済成長見通しを上方修正したことも追い風となりました。結局、NYDowは小幅に続落し、NASDAQは5営業日続伸しました。
10月23日の日本市場では、長期金利の上昇を背景に前日の米株式相場でNYDowが下落した流れが引き継がれ、売りが優勢となりました。東証プライム市場に新規上場された東京メトロ株を買うために既存の上場銘柄に売りが出たことも、指数の重石となりました。一方、外国為替市場の円安ドル高進行を受けて主力の輸出関連株は買われ、相場を支えました。日経平均は3日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-1.7%とマイナスに転換し、200日線との乖離率も-0.3%とマイナスに転換しました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがマイナスとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と25日線の下にあり、200日線を下回りました。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.2ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3890円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-8.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3240円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.80と前日より上昇し、VIXは18.20と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.6、米国+0.1と日本が5.7ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.74ポイント(日経平均換算で101510円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.0%増で、改定値の3.0%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、8月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.33、PBRが1.34となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.7%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.6%で、こちらは3か月前より0.2ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-6.2%となり、日経平均の割安幅は1860円から2500円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-2500円~-1140円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.25ポイントから3.26ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。
10月23日の米国市場では、9月の中古住宅販売件数や、ベージュブックのほか、テスラ、IBM、ボーイング、コカ・コーラ、CMEグループ、ノーザン・トラスト、AT&T、ヒルトン・ワールドワイド、ゼネラル・ダイナミックス、ネクステラエナジーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを390円ほど下回り、下値は想定ラインを30円ほど上回りました。目先は、25日線+100円(現在38600円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在37460円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、依然として高水準にあります。一方、信用の売り圧力は弱まりました。日経平均は3日続落しました。衆院選後の政局の混乱が懸念されており、週内は調整が続く可能性が高そうです。
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