[市況]
10月16日、NYDowとNASDAQは上昇しました。10月17日の日経平均先物は、前日比220円高で寄り付くと、午前中は240円高から400円安と下落に転じ、午後は240円安から0円安の間で上下して、結局、90円安で取引を終えました。日経平均の終値は269円安の38911円で、出来高は16.32億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を5日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。
10月16日の米国市場では、オランダの半導体製造装置大手ASMLが決算説明会でAI関連の需要について楽観的な見方を示したことが好感され、前日に下げが目立った半導体株の一角が買い直されました。また、モルガン・スタンレーなど、市場予想を上回る決算を発表した金融株にも買いが集まりました。結局、NYDowは反発して過去最高値を更新しました。NASDAQも反発しました。
10月17日の日本市場では、16日の米株式市場でASMLホールディングが大幅下落したことが投資家心理の重石となり、値がさの半導体関連株に売りが向かいました。台湾TSMCの好決算を手がかりに買い戻される場面もありましたが、買いの勢いは続きませんでした。一方、銀行株には買いが向かい、相場を下支えしました。日経平均は続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+5.7%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.1%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-7.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2760円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-6.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2650円ほど割安であることを示しています。
日経VIは26.55と前日より低下し、VIXも19.58と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.5、米国-0.2と日本が5.3ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.40ポイント(日経平均換算で84310円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.0%増で、改定値の3.0%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.55、PBRが1.36となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.7%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.2%で、こちらは3か月前より0.9ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.9%となり、日経平均の割安幅は780円から1140円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1140円~+60円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.08ポイントから3.08ポイントと横ばいでした。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、経済のハードランディングを避けるべく、0.5%の利下げが決まりました。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げを継続しています。
10月17日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月の住宅市場指数のほか、ECB定例理事会や、ネットフリックス、スナップオン、トラベラーズ・カンパニーズ、ブラック・ストーン、マーシュ&マクレナンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを480円ほど下回り、下値は想定ラインを380円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在39480円近辺)が上値の目安に、25日線+100円(現在38230円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は続落しました。米国の経済指標と半導体株の動き次第ではありますが、日本市場では調整が続く可能性のほうが高そうです。
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