[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、FRBの利下げと米国経済のソフトランディングへの期待で、株価指数は週間では上昇しました。
週間変動率 NYダウ:+0.65 NASDAQ:+0.94% S&P500:+1.06%.
一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.77ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500のPERが22.0に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの15.7との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.77ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが62.4程度になるか、又は、日経平均が142,140円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は106,390円ほど割安です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、106,390円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2023年GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目。
② 四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.8%となりました。3ヶ月前に比べて0.2ポイント改善しました。また、利益伸び率は+8.4%となりました。3ヶ月前に比べて+5.9%ポイント改善しています。
③ 米国の長期金利は上昇したものの、日米間の金利差は3.47から3.44に,縮小して、ドル円は146円から148円の範囲で横這いでした。ドル・インデックスは週間で+0.23%上昇しました。
④ OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.4%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.5ポイント劣ります。
⑤ 1月第3週は買い越しで、1月第4週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、⑤が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.6ポイント(日経平均に勘算すると570円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に1.6ポイント(日経平均に勘算する570円程度)割高です。
米国市場に対して日本市場は割高に転換しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 13.3 と横這いでした。 日経 VI は 週間で 19.6と低下しました。米国市場は楽観的で日本市場は一服です。
日経平均は、9日線の下にありますが、25日線の上にあります。短期トレンドには"黄信号”が点灯しています。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+22.4%で、200日移動平均線との乖離率は+11.2%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。
米国市場では、NYDowは9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。
NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には"青信号”で、中期的にも"青信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。
直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
為替市場を分析すると、2023年11月より円高方向へ転換しています。今週は148円台から146円台が想定されます。
今週の米国市場は、FOMCの結果、非農業部門雇用者数、賃金指標、失業率に最も注目が集まります。また、JOLTS求人倍率、ISM製造業・サービス業PMIにも注目が集まります。決算シーズンは3週目に入り、マイクロソフト、アルファベット、AMD、アップル、アマゾン、メルク、エクソンモービルなどの大手企業の決算が発表されます。世界的には、イングランド銀行の金融政策決定とユーロ圏の第4四半期GDP成長率が市場の焦点となります。さらに、オーストラリア、ユーロ圏、韓国のインフレ率も注目されます。最後に、中国の製造業PMIと、日本、ユーロ圏の失業率が週を締めくくります。
先週の日経平均は、想定レンジを上振れしました。上値は想定ラインを260円ほど上回り、下値は想定ラインを1060円ほど上回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在37120円近辺)で、下値が25日線(現在34630円近辺)の間での動きが想定されます。
日経平均のボラティリティーは低下傾向ですので、今週は押し目待ちの週となりそうです。
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