日経平均の予想: [2022/05/23]今後の日経平均の見通し

Monday, May 23, 2022

[2022/05/23]今後の日経平均の見通し

[市況]

520日、NYDowは小幅上昇し、NASDAQは下落しました。523日の日経平均先物は、前日比160円高で寄付くと、午前中は280円高から60円高の間で上下し、午後は80円高から280円高と上昇幅を拡げて、結局280円高で取引を終了しました。日経平均の終値は262円高の27001円で、出来高は10.98億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を3日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

520日の米国市場では、インフレとFRBによる積極的な金融引き締めが景気を冷やすとの懸念から、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。ただ、NYDowは前日までに連日で年初来安値を更新しているとあって、短期的な戻りを見込んだ買いも入り、引けにかけては急速に下げ渋りました。結局、NYDow3営業日ぶりに小幅に反発し、NASDAQ3日続落しました。

523日の日本市場では、米長期金利の低下を受け、ハイテク株の一部に買いが先行しました。上海や香港市場が下げて始まると、日本株の上値も重くなりましたが、大引け間際、バイデン米大統領の「対中関税の引き下げを検討している」との発言が伝わると、日経平均は上昇幅を拡げました。結局、日経平均は続伸し、終値で27000円台を回復しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は-1.8%と前週末よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-3.4%と前週末よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+17.8ポイントと前週末よりプラス幅を拡げ、日経平均が4810円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差も、+6.8ポイントと前週末よりプラス幅を拡げ、日経平均が1840円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.90VIX29.43と、日米市場のボラティリティーは小幅に上昇しました。VIXは節目の30を下回っているものの、高止まりしており、投資家の不安心理は依然として高い状態です。NYDowと比較して、日経平均は強い状態です。前週末より強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-3.0と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.39ポイント(日経平均換算で5920円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率1.4%減で、市場予想の1.0増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、今のところまちまちです。

 

経済指標を見てみます。

4月の鉱工業生産指数、4月の消費者物価指数、3月の製造業受注産指数は市場予想を上回りました。また、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、5月のフィラデルフィア、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のISM製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比42.8万人増で、市場予想の40万人増をやや上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%からほぼ横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに5回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、金融緩和政策を継続しています。2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、518 1.4780% 519 1.5048% 520 1.5064%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.98PBR1.17となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+1.9%で、こちらは3か月前より25.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+7.6%となり、日経平均の割高幅は1840円から2000円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+640円から+2000円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.63ポイントから2.61ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

523日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを70円ほど下回り、下値は想定ラインを400円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在27320円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在26630円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日ぶりに下回り、信用の売り圧力はかなり弱まりました。VIXは節目の30を下回っているものの、高止まりしており、投資家の不安心理は依然として高い状態です。日経平均は、いちおう上値抵抗線を越えました。VIX30を上回らない状態が続けば、ボリンジャーバンド+2σまで上昇する可能性もありそうです。



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