日経平均の予想: [2012/01/31]日経平均の今後の見通し

Monday, January 30, 2012

[2012/01/31]日経平均の今後の見通し



[市況]
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日のNYDowNASDAQは小幅下落しました。31日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付き、午前中は30円安から40円高の範囲でやや下げ幅を拡げる動きでした。午後も同水準でやや上げ幅を縮める動きとなり、最終的に前日比10円高で取引を終わりました。日経平均は9円高の8802円で取引を終わりました。出来高は20.68億株と比較的高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は250万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
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日の米国市場では、ギリシャへの金融支援を巡る不透明感やポルトガルの国債利回りが急上昇したことで、欧州市場が下げたことが嫌気され、NYDowの下げは一時130ドルを超えました。ただ、下げ一巡後は、通信株などには値ごろ感からの買いが入ったため、取引終了にかけて下げ幅を縮小しました。
31日の日本市場では、12月の鉱工業生産指数の上昇率が市場予想を上回ったことが好感され、主力株に押し目買いが入りました。ただ、円相場が対ドルで約3ヶ月ぶりの水準まで上昇したことが重荷となり、午後は小動きとなりました。

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テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+2.0%でプラス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-3.1%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。2つの要素がプラスですので、中期トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDow200日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQ200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.0ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.4ポイント拡がりました。

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ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECD2012年予想実質GDP伸び率の日米差(+2.0ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.07イント割高となりました
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況と追加金融緩和の行方」、「欧州の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の景気と金利動向」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10-12月期のGDPは年率で2.8%増となったものの予想値の3.0%を下回りました。10-12月期の米主要企業の決算発表は今のところ概ね好調のようです。経済指標では、12月の鉱工業生産が予想をやや下回ったもののプラスとなり、12月のシカゴ連銀全米活動指数、1月のNY連銀製造業景気指数1月のミシガン大学消費者態度指数、12月のISM製造業景況感指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、11月の耐久財受注などは市場予想を上回りましたが、12月の景気先行指標総合指数、12月のフィラデルフィア連銀指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況感指数は予想以下となりました。12月の雇用統計は就業者数が前月比20万人増で、市場予測の15万人増を上回り、失業率が前月の8.7%から8.5%に改善しました。一方、住宅関連では1月の住宅市場指数予想以上となりましたが、12月の中古住宅販売件数は3ヶ月連続で増加したものの。予想ほど伸びず、12月の新築住宅販売件数、12月の住宅着工件数は予想以下でした10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で1.2%低下しました。市場予想の0.5%より弱い結果でした。昨年10月以降は過度の景気後退懸念は無くなりつつあります。ただ、雇用と住宅関連は回復しつつあるものの、低水準で金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字による国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G202013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは不動産と雇用の回復の鈍さから、短期金利を2014年後半までは超低金利で維持する政策を継続することを発表しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げは一服し、景気減速で逆に利下げ方向です。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は0126 0.5531% 0127 0.5511% 0130 0.5468%となり上昇が止まり、低下が続いています。2010年のギリシャ財政危機直前の一昨年0503日の0.346%を超えていますが、ECBによる3年物オペで金融システム危機懸念は落ち着く兆しが出てきました。ここ2年の最高金利は201215日の0.5825%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PER15.9PBR0.97ROE6.1%となっています。PBR1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

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今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも関わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は;+2.6%となり、日経平均は220円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+30円 ~ +240円の間で推移しています。日本市場は、短期的にはドル・ベースでは米国市場に比べ強い動きが続いていますが、今日は強い動が加速しました。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルにはやや割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は0.88に縮小し、ドル円は円高方向の動きでした。日米金利差は米国金利の低下でやや縮小傾向ですので、この面では円高圧力は強まりつつあります。
テクニカルには、米国市場は、中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期もみ合いで、短期は上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、EU政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となり金融危機が再来するか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが引き続き、今後のテーマとなりそうですが、LIBOR銀行間金利の上昇は止まり、低下が続いていますので、金融危機懸念は収まりつつあるものと思われます。今後もLIBOR金利の動きが注目されます。また、米国の経済指標はまちまちで、雇用の回復は鈍く、世界景気の減速懸念も払拭出来ていません。このような相場環境の中、今夜の米国市場は11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月の消費者信頼感指数が注目されそうです。
今日の日経平均の下値は、ボリンジャーバンド+1σ近辺でした。目先の上値の目安は、ボリンジャーバンド+2σ(現在8920)近辺で、下値の目安は、120日に空けた窓の窓埋めとなる8670円近辺が想定されます。



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