[市況]
25日のNYDowとNASDAQは下落しました。26日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付き、午前中は50円安から10円高の範囲でもみ合う動きでした。午後も、もみ合う中、引けにかけてやや上昇し、最終的に20円高で取引を終わりました。日経平均は25円高で引け、出来高は18.93億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、670万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況です。
25日の米国市場では、欧州市場が下落したことを受けて欧州の債務問題への懸念が強まり売りが優勢となりました。一方、ウォーレン・バフェット氏の投資会社が出資すると発表したバンク・オブ・アメリカが大幅に上昇したことで、金融株全般に買いが波及し、朝方には高く推移する場面もありました。
26日の日本市場では、朝方は米国市場安を嫌気して小安く始まりましたが、為替が円安ぎみ動いたこともあり、下値では押し目買いも入りました。今晩のバーナンキFRB議長の講演の内容を見極めたいと様子見気分も強かったものの、大引けにかけて主力株に買い戻しが入りました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-24.0%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-11.0%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.2ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は1.1ポイント割安幅を縮め、ほぼ均衡しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.60ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の耐久財受注額、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、6月の住宅価格指数、7月の住宅着工件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月23日 0.3118% → 08月24日 0.3143% → 08月25日 0.3190%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.1、PBRが0.96、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%となり、日経平均は140円の割安で、割安幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きに変わりましたが、今日は弱い動きが縮小しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注意域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.20%に縮小したものの、為替はやや円安方向の動きです。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっていましたが、変化の兆しが見えます。前日の米国市場は欧州市場につれ安しました。今夜の米国市場では4-6月期のGDP改定値、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、バーナンキFRB議長の講演などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は様子見気分が強い相場でした。目先の予想レンジは、引き続き、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で、下値は3月15日の終値の8605円近辺が想定されます。これを下回ると3月15日の安値の8227円まで節目が無くなります。まだ、正念場が続きます。
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