日経平均の予想: [2011/08/08]日経平均の今後の見通し

Monday, August 08, 2011

[2011/08/08]日経平均の今後の見通し

[市況]
5日のNYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。8日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付き、午前中は60円安から160円安の範囲で下げ幅を徐々に拡げる動きでした。午後は一時230円安まで下げる場面がありましたが、最終的に160円安で取引を終わりました。日経平均は202円安で引け、出来高は20.42億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1760万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感が出てきました。。
5日の米国市場では、朝方発表された7月の米雇用統計では雇用者数が前月比11万7千人増と市場予想以上に増え、失業率も9.1%に低下したことを受け、NYDowは170ドルあまり上げてスタートしましたが、イタリアやスペインを取り巻く不透明感から欧州株式市場で売りが膨らみ、手じまい売りでNYDowは一時240ドル安まで急落しました。午後に、イタリアが財政再建を加速するとの報道に加え、ECBがイタリア国債を購入することを検討していると伝わったことで、NYDowは上昇に転じて終了しました。
8日の日本市場では、5日に米格付け会社S&Pが米国債の格下げを発表し、世界的な金融市場の混乱が意識される中、後場にアジア市場の急落をきっかけに、世界的な連鎖株安への懸念から一段安となりました。朝方にG7財務相・中央銀行総裁の電話協議で、金融市場の安定に向けた協力などで合意したと声明が発表されたものの、円高や株価の下落に歯止めはかかりませんでした。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-22.7%とマイナス幅が拡大しました。200日線との乖離率は-8.3%とマイナス幅が拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.5ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.2ポイント拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.45ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月03日 0.2682% → 08月04日 0.2694%→ 08月05日 0.2716%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.7、PBRが1.01、ROEが7.3%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.9%となり、日経平均は80円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円 ~ +430円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急減速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇し、欧州財政問題が金融不安に発展する気配が少し見えてきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.55と拡大したものの、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、先週末の米国市場は景気後退懸念と欧州財政問題でまちまちな動きでした。今夜の米国市場では米国債格下げの影響が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが75を下回り、25日線乖離率が-8.1%、サイコロジカルライン33%となるなど、下げ過ぎを示していますので、目先の反転は近そうです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いたものの経済指標の陰りが足を引っ張っています。日経平均の目先の予想レンジは、上値が今日空けた窓の窓埋めとなる9265円近辺で下値は9000円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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