[市況]
26日のNYDowとNASDAQは上昇しました。27日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付き、午前中は、60円安と前日同値の間での動きとなりました。午後は50円高まで上昇する場面もありましたが引けにかけて売られ、最終的に20円安で取引を終わりました。日経平均は40円安で引け、出来高は15.1億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、10万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
26日の米国市場では、朝方発表の1-3月期の米GDP改定値が1.8%増と速報値と同水準で、市場予想の2.2%増を下回ったことや、新規失業保険申請件数が予想以上に増えたことで、午前の株式相場は売りに押される場面が目立ちました。ただ、ネットアップが発表した四半期決算は増収増益となり、企業のIT関連製品需要が強いとの期待が広がり、午後はIT関連銘柄を中心に見直し買の動きが広がりました。
27日の日本市場では、米国市場高を受けて、前日比プラスで推移する場面もあったものの、円高や米中景気の先行き不透明感から自動車や電機など輸出関連の主力株の一部が売られ、株価指数はマイナスで終わりました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在り、9日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は-8.5%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-3.1%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期的トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が9.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は 1.1ポイント拡がりました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 0.80ポイント割安となっています。
市場は現在、「福島原発問題の行方」、「世界の景気と原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧州の財政赤字による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の1-3月期のGDPは年率で1.8%に減少しました。1-3月期の主要企業の決算発表は、好調な決算企業が勝り、支援材料となっています。経済指標では、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の消費者信頼感指数などは市場予想を上回りましたが、4月のISM製造業景況感指数は予想の範囲ながら前月より低下し、4月の耐久財受注額、4月のシカゴ連銀景気指数、5月のフィラデルフィア連銀景気指数、4月の鉱工業生産指数、5月のNY連銀景気指数、4月の小売売上高、4月のISM非製造業景況感指数は予想以下となりました。4月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が244,000人増と市場予想以上となりましたが、失業率は8.8%から9.0%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、4月の新築住宅販売件数は予想以上でしたが、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は予想以下となりました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で-2.6%の低下となりました。昨年9月以降の景気関連の経済指標は改善傾向でしたが、今年4月以降、景気と雇用指標に陰りがでてきました。また、住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガルを初めとする欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は05月24日 0.2550% → 05月25日 0.2545% → 05月26日 0.2540%となり低水準で低下傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.4、PBRが1.07、ROEが6.9%となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1となり、日経平均は10円の割安で、割安幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-310円 ~ +60円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日でほぼニュートラルとなりました。
米国市場は、中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に見ると、テクニカルには米国市場に比べて割安で、ファンダメンタルにも割安です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.94%と縮小し、為替は円高方向です。一方、米国市場は景気に陰りが見え始め、商品市況に左右される相場となっていますが、今夜の米国市場は4月の個人所得・支出、4月の中古住宅販売成約指数、G8の声明などが注目されそうです。
ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。日経平均は、震災の企業業績に与える影響やGDP低下懸念も問題となり、二番底を探る動きとなる気配が見えます。テクニカルには、一目均衡表の雲を抜けない状況が続いています。ファンダメンタル面では、引き続き、米国景気の減速懸念と原油などの商品市況の動きが注目点です。国内は3月期決算の内容を織り込んだようですが、今期見通しは不透明です。ただ、年後半のサプライチェーンの復活が見込まれますので、過度な業績悪化は想定しづらい面もあります。目先の価格レンジは、引き続き、一目均衡表の雲の上限の9560円近辺とボリンジャーバンド-2σ9370円近辺の間が想定されますが、9370円を下回った場合は3月22日に空けた窓の窓埋めとなる9275円近辺が次の抵抗ラインとなりそうです。
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