日経平均の予想: [2011/05/15]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, May 14, 2011

[2011/05/15]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、原油など商品相場の下落、中国の預金準備率上げ、ユーロ急落などで、下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場の下落で0.6ポイント割安となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの16.2との差と日米金利差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が0.3%下がり、2011年度の企業業績が2010年度予想値より5%程度下がることが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、原油価格下落の行方や住宅関連指標、4月の鉱工業生産の発表などが株式相場に影響しそうですが、もみ合う相場が続きそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は-0.2%となり、今期ROE予想値は7.9%から6.8%へ悪化しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.09%~2.01%と縮小傾向で、為替は80円から81円台と小動きでした。今週は80から82円台でのもみ合いが予想されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。ただ、震災の影響は考慮されていない数字ですので、日本は0.3%程度の低下はありそうです。
⑤ 4月4週はと5月1週は買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち⑤が強気材料で①③④が弱気材料でした。今週は、①③⑤と地震災害による②④が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、11.1ポイント割安となり、先週比1.7ポイント割安幅(弱い動き)が拡がりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は-1.8%となり先週と比較してマイナスに転換しました。総合乖離率は-6.0%となりマイナスに転換しました。1つがプラスですので中期トレンドは、”黄信号"が点灯しています。日経平均は9日線、25日線の下に在りますので、短期的には"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には黄信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、不動産市場の低迷、北アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上げなどのリスクは後退しているものの景気・雇用指標の停滞が見え始めました。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドですが、短期はもみ合いとなっています。日本市場は中期もみ合いで短期は下降トレンドです。
目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。一方、先週の日米金利差はやや拡大し、為替はもみ合う動きとなっています。
今週の日経平均も、米国市場や為替の動き、原発問題が企業業績への影響などを睨んだ動きとなりそうです。米国市場では景気指標の悪化で、目先は調整局面を迎えていまが、企業業績は好調ですのですので、押し目買いも入りやすい環境です。一方、日本市場では、3月期決算発表が本格化し、震災の日本経済に与える影響の大きさが決算発表の内容にどう反映されるかが、今後の重要な要素です。テクニカルな視点での日経平均は、200日線を割る展開となり、短期も下降トレンドですので、弱気が勝りそうです。目先は一目均衡表の雲の上限9550円を割り込むと、さらに一段安となりそうですが、米国市場が戻す動きとなった場合は9550円と9750円の範囲で揉み合う展開が予想されます。


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