[市況]
29日、NYDowとNASDAQは上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比10円高で寄り付きました。前場は10円安まで売られた後は徐々に切り返す動きとなりました。後場は上げ幅を拡大する動きとなり、最終的に100円高で引けました。日経平均は110円高で引け、出来高は22.1億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、150万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
29日の米国市場では、3月のユーロ圏16カ国の景況感指数が上昇したことで、週明けもユーロ売りが一服していることや、原油の大幅上昇を受け、石油株や景気敏感株が上昇しました。2月の個人消費支出が5ヶ月連続で増加し、物価指標であるPCEデフレーターの伸び率が縮小したことで、インフレの落ち着きが示されたことも好感されました。
30日の日本市場では、朝方は米市場高を好感した買いが先行しました。寄り前に発表された2月の鉱工業生産指数は12ヵ月ぶりにマイナスへ転じましたが、影響はあまりなく、かえって地合いの良さを改めて印象づけました。後場はアジア市場が堅調に推移していることも安心感を誘い、ジリジリと上げ幅を拡大し、大引け間際には11100円を回復する場面がありました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+20.3%とプラス幅は縮まりました。200日線との乖離率は+9.2%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.7ポイント縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしたが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況でした。経済指標では、3月の消費者信頼感指数や2月の景気指数、小売売上高、個人消費支出や1月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りましたが、2月の卸売物価指数は低下しました。2月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数の減少幅は事前予想より改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、2月の中古住宅販売が減少したものの予想以上となり、2月の住宅市場指数も改善し、1月の住宅着工件数も改善しました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想の範囲内でした。ただ、2月の新築一戸建て住宅販売件数は4ヶ月連続減少し、調査開始以来の最低水準を更新しています。12・1月の景気指標はまちまちでしたが2・3月は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは低下したままのようです。2月の消費者物価指数が高い伸びとなった中国の金融引き締めの影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。一方、米政府の金融機関に対する規制問題は悪材料ですが一旦は織り込んだようです。また、ギリシャの財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっています。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。
世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、消費の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる米国の商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は29日、下落しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.18ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが34.0、PBRが1.40となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、今日も、米国市場の動きより堅調な展開となりました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%%となり、日経平均は10円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-240円~+20円の間で推移しています。日経平均は、先物主導で上昇し、このところの円安の割に伸び悩んでいた分を取り戻しました。今夜の米国市場ではS&P/ケース・シラー住宅価格指数や3月の消費者信頼感指数などの経済指標が注目されそうです。米国市場は高値揉み合いの中、日本市場は比較的堅調な展開となっています。騰落レシオは多少低下したものの134と高水準を保っており、25日移動平均乖離率も4.9%と過熱感が出る水準に近づきましたので、高値警戒感は強まりそうですが、騰落レシオは日経平均のピークに先んじてピークを付けることが多いことを考慮すれば、先高感は依然として存在します。目先は変化日の到来などもあり、弱含む場面もありそうですが、引き続き、押し目買いが有利と思われます。
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