[市況]
8日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。9日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付きました。前場は40円安から10円高の間で小動きでした。後場も20円安から20円高の間で小動きでした。最終的に前日比10円高で引けました。日経平均は18円安で引け、出来高は16.2億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、240万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
8日の米国市場では、重要な経済指標や企業業績の発表が少なかったため材料が乏しく、ひとまず利益を確定させる動きが、やや優勢となりました。NYDowの上下値幅は45ドルと小さく推移しました。ただ、シスコなどハイテク株の一角が業績期待から買われたほか、AIGが傘下のアリコをメットライフに売却すると発表するなど、M&Aの活発化の思惑を背景とした買いも入り、株価指数は高く推移する場面もありました。
9日の日本市場では、朝方から利益確定売りが優勢となりました。小幅上昇に転じる場面もありましたが、89円台後半の円高水準へ振れたことも重しとなり、弱含む場面もありました。一方、アジア市場の堅調推移が下支え要因となり、大引けにかけては薄商いのなかを膠着した展開が続きました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+11.8%とプラス幅が縮まりました。200日線との乖離率は+5.0%とプラス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に抜けました。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号から青信号に変りました。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在、一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.9ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.3ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況、中国の金融引き締めの影響」「欧米の金融機関の損失拡大や財政赤字国の債務不履行による金融危機再来と金融規制」「為替の動向」といった事柄を興味の対象としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況でした。経済指標では、2月の景気指数や既存店売上高、1月の鉱工業生産指数や個人消費支出は市場予想を上回りましたが、2月の消費者信頼感指数は大幅に低下し、消費者態度指数も予想以下でした。2月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数の減少幅は事前予想より改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、2月の住宅市場指数が改善し、1月の住宅着工件数も改善しました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想の範囲内でした。1月の新築一戸建て住宅販売件数が調査開始以来の最低水準を更新し1月の中古住宅販売も予想以下となっています。12・1月の景気指標はまちまちでしたが2月は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは低下したままのようです。中国・インドの金融引き締めの影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。一方、米政府の金融機関に対する規制問題は悪材料ですが一旦は織り込んだようです。また、ギリシャの財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっています。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。
世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、消費の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる米国の商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は8日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在3.56ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが31.6、PBRが1.33となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の動きに連動して小動きでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%%となり、日経平均は70円の割高で、割高幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-60円~+110円の間で推移しています。日経平均は、円高ぎみの割には下落幅は小さめでした。今夜も米国市場では注目されそうな経済指標の発表はなさそうですので、個別材料や欧州市場に影響されそうです。日米市場共に一旦、利食い売りとなりましたが、ボリンジャーバンドは狭まった後に、拡がってきましたので、利食い売りをこなした後はもう一段の上昇が望めそうです。
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