[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、2月の雇用統計で雇用の減少幅が予想以下となった流れを引き継ぎ堅調な動きが続きました。一方、中長期的には、米国を中心とする先進国の消費や雇用の改善方向は弱く、EU加盟国の財政問題や個人ローンの不良債権化と商業用不動産価格の下げによる信用収縮傾向が、今後も景気の足を引っ張る原因となる可能性が残っています。
そのような環境の中、今週は、16日に開催される米連邦公開市場委員会が株価に大きな影響を与える可能性がありそうです。
2010年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場が2.1ポイント割高となっています。日本市場は米国市場に比べ企業利益の低迷が割高の原因です。日経平均のPERは32.0で、S&P500のPERの14.4と比べると、企業のファンダメンタルに大きな差が有ります。長期金利差でこれを埋める形ですが、それでも割高感があります。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2010年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①先週の米国市場は第二段のリバウンド継続となりました。今週も、基本的にリバウンドの継続が続きそうですが、米FOMCの結果次第で利食い売りが優勢となるリスクもあります。
②日経225採用銘柄の今期予想増益率は前期が赤字の為、計算不能となりましたが、景気の低迷により今期ROE予想値は4.2%と徐々に上向いてきました。
③米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.4%で、為替は89から90円台の動きでした。今週も、円安ぎみで、89から91円台が想定されます。
④今年9月に、OECDによる日米の2010年の実質GDP伸び率は日本が+1.8%となり、米国は+2.5%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.7ポイント分の割高となる弱気材料です。
⑤3月1週の外人は買い越しでした。3月2週も買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち先週は①③⑤が強気材料でした。今週も①③⑤がキーポイントと思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、6.4ポイント割安となり、先週比2.3ポイント割安幅が縮小しました。
一目均衡表では、雲の上に在り、200日移動平均線乖離率は6.6%となり先週と比較してプラス幅は拡大しました。総合乖離率は+16.2%となりプラス幅が拡大しました。3つがプラスですので中期上昇トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は9日線の上に在り、25日線の下に在りますので、短期的には"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日線、、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には"青信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
先週の米国市場では、シスコやシティーグループの株価上昇が支えとなりました。円安と米国市場の堅調な動きに助けられ、日経平均は、米市場より堅調な動きでした。今週は、米国のFOMCの金融政策や景気判断の変化の有無と国内では日銀の金融政策決定会合で追加の金融緩和策を示唆するか否かが最大の焦点となりそうです。一段高となる場合は過熱感を示すテクニカル指標が出て、その後は利食い売りが優勢となる場面も有りそうですが、総じて堅調な展開が予想されます。日経平均とNYDowが年初来高値を更新するか否かに注目したいと思います。
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