[市況]
23日、NYDowとNASDAQは上昇しました。24日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付きました。前場は110円高まで上げる場面がありましたが、後場初めにかけて20円安まで売られました。その後は徐々に値を戻す展開となり、最終的に20円高で引けました。日経平均は40円高で引け、出来高は18.9億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、110万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
23日の米国市場では、株価指数が約1年半ぶりの高値を付けました。景気の回復期待を背景に、建機大手キャタピラーなど景気敏感銘柄に買いが入りました。2月の中古住宅販売件数が年換算で502万戸と前月比0.6%減少しましたが、市場予想の495万戸を上回ったことで支援材料となりました。
24日の日本市場では、朝方は米市場高を好感して買いが優勢となりました。日経平均は一時10880円まで上昇する場面があり、取引時間中では2月の戻り高値を更新しました。前場中ごろ以降は伸び悩み、後場に入るとギリシャ問題の不透明感なども警戒され、下げに転じる場面がありました。しかし、下値圏では押し目買いが相場を下支えしました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+14.0%とプラス幅が拡がりました。200日線との乖離率は+6.7%とプラス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期的トレンドは青信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。
NYDowは200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線、25日線、9日線の上に在り、一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
テクニカル的な指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.6ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は0.5ポイント拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.2ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の10月~12月期のGDPは予想以上の伸びでしたが、米企業の10月-12月期決算発表は、好悪まちまちな状況でした。経済指標では、2月の景気指数や小売売上高、1月の鉱工業生産指数や個人消費支出は市場予想を上回りましたが、2月の卸売物価指数や消費者信頼感指数は低下し、3月の消費者態度指数も予想以下でした。2月の失業率は9.7%と変らなかったものの、雇用者数の減少幅は事前予想より改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、2月の中古住宅販売が予想以上となり、2月の住宅市場指数も改善し、1月の住宅着工件数も改善しました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で下落しましたが、市場予想の範囲内でした。しかし、1月の新築一戸建て住宅販売件数は調査開始以来の最低水準を更新しています。12・1月の景気指標はまちまちでしたが2・3月は改善傾向ながら、雇用と消費者マインドは低下したままのようです。2月の消費者物価指数が高い伸びとなった中国の金融引き締めの影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の相次ぐ公的資金返済発表で表面的に資本不足は解消し、金融は正常化したように見えますが、時価会計基準が緩和されたこともあり、金融機関の不良資産が本当に減少しているかどうかは定かではありません。また、米地銀の不良債権問題の影響も懸念されます。一方、米政府の金融機関に対する規制問題は悪材料ですが一旦は織り込んだようです。また、ギリシャの財政赤字国の債務不履行懸念問題は対策案が発表され、EUが支援する方向となっています。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。
世界的な低金利政策は、各国の事情による金利政策に変りつつあります。為替は、金利差の変動に大きく左右されています。
世界景気は底を打ったように見えますが、消費の低迷や雇用の減少は、世界中で継続しています。また、2011年まで続くと言われる米国の商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきは、金融機関の不良債権の増加を懸念させ、企業および個人の資金調達に悪影響を及ぼしています。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は23日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.12ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが32.1、PBRが1.37となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%%となり、日経平均は130円の割安で、割安幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間、-170円~+100円の間で推移しています。日経平均は、ユーロ安を嫌気して軟調な展開でした。今夜の米国市場では2月の耐久財受注や2月の新築住宅販売件数が注目されそうです。米国市場の堅調な動きに比べ日本市場の伸び悩みが顕著となっています。しかし、下落した割に、高値更新銘柄数は増加し、騰落レシオが134と直近のピークを更新するなど、先高感は依然として存在しますので、引き続き、押し目買いが有利と思われます。
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