[市況]
9月25日、NYDowは下落し、NASDAQは小幅上昇しました。9月26日の日経平均先物は、前日比450円高で寄り付くと、午前中は440円高から950円高と上昇幅を拡げ、午後は770円高から1080円高の間でもみあって、結局、1000円高で取引を終えました。日経平均の終値は1055円高の38925円で、出来高は20.85億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。
9月25日の米国市場では、連日の株高を受け、主力株の一部に利益確定の売りが膨らみました。AI需要の先行きを占うマイクロン・テクノロジーの決算発表を見極めたいとのムードもあったようです。一方、エヌビディアやテスラには買いが集まりました。結局、NYDowは5営業日ぶりに反落し、NASDAQは小幅に3日続伸しました。
9月26日の日本市場では、米マイクロン・テクノロジーが時間外取引で大幅上昇したことが好感され、値がさの半導体関連株に買いが集まりました。また、外国為替市場で円安ドル高が進行したことを追い風に、輸出関連株が買われました。配当権利取りの買いや、配当の再投資を見込んだ先物への買いも、指数の押し上げ要因となりました。日経平均は大幅に反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+8.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+3.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2300円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-3.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1440円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.37と前日より低下し、VIXは15.41と前日よりやや上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.5、米国-0.6と日本が4.9ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.96ポイント(日経平均換算で64870円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率3.0%増で、速報値の2.8%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のシカゴ購買部協会景気指数、7月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は10勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.2万人増で、市場予想の16.0万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.3%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡大するという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売件数、6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は5勝1負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では9月20日 4.9528% → 9月23日 4.9295% → 9月24日 4.9204%と、ここ5年の最高値圏からピークアウトしています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.77、PBRが1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.7%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.3%で、こちらは3か月前より1.1ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず大幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.2%となり、日経平均は480円の割安から430円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-490円~+430円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.94ポイントから2.96ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、経済のハードランディングを避けるべく、0.5%の利下げが決まりました。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げを継続しています。
9月26日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、4~6月期のGDP確定値、8月の耐久財受注、8月の中古住宅販売仮契約指数のほか、コストコホールセール、アクセンチュア、カーマックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを450円ほど上回り、下値は想定ラインを950円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39460円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在38280円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、以前として高水準にありますが、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は、やや弱まりました。日経平均は大幅に反発しました。明日は配当権利落ち分の230円の下落が予想されていますが、ドル円相場次第では、9月2日の高値(39081円)を上回る可能性も出てきました。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。