日経平均の予想: [2023/09/10]今後の日経平均の見通し

Tuesday, September 10, 2024

[2023/09/10]今後の日経平均の見通し

[市況]

99日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました910日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付くと、午前中は240円安から300円高の間で上下し、午後は200円高から130円安の間で上下して、結局、90円安で取引を終えました。日経平均の終値は56円安の36159円で、出来高は17.13億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

99日の米国市場では、前週末にかけて大幅に下げた後とあって、主力株を中心に見直し買いが入りました。FRB1718日開催のFOMCで利下げに踏み切るとの公算は大きく、金融緩和が景気を支えるとの見方が投資家心理を支えました。また、半導体株が買い直されたことも好感されました。NYDow3営業日ぶりに反発し、NASDAQも反発しました。

910日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が買われた流れを受け、値がさの半導体関連株の一角に押し目買いが入りました。ただ、米大統領候補によるTV討論会や8月の米CPIの発表、株価指数先物・オプション9月物のSQ算出など重要イベントを週内に控えて様子見ムードも強く、積極的に買い進む動きは限定的でした。結局、日経平均は6日続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-12.3%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-3.6%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線の下にありますが、200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2420円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-8.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3110円ほど割安であることを示しています

 

日経VI27.74と前日より低下し、VIX19.45と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.8、米国-0.7と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.10ポイント(日経平均換算で56820円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率3.0%増で、速報値の2.8%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の小売売上高は市場予想を上回りました。一方、8月のISM製造業景況指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数、7月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利下げが遅れるという面では弱気材料です

 

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.2万人増で、市場予想の16.0万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.3%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡大するという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。一方、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数は予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識しており、9月利下げ開始への期待を高めています。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を達成できる見通しがついたとして、利上げに踏み切りました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では94 5.2560% 95 5.2076% 96 5.2002%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.90PBR1.31となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.5%で、こちらは3か月前より1.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均の割安幅は50円から680円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-680円~-50円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.86ポイントから2.82ポイントに縮小しましたが、ドル円相場はやや円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

910日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。大統領候補者によるTV討論会が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを610円ほど下回り、下値は想定ラインを160円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在36160円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在34570円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、以前として高水準にありますが、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は6日続落しました。FOMCを通過するまでは、2番底を探る動きが続きそうです。



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