[市況]
9月17日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは小幅上昇しました。9月18日の日経平均先物は、前日比430円高で寄り付くと、午前中は440円高から150円高と上昇幅を縮め、午後は190円高から120円安と一時下落に転じて、結局、170円高で取引を終えました。日経平均の終値は176円高の36380円で、出来高は15.31億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
9月17日の米国市場では、FOMCを間近に控えて様子見ムードが強まるなか、足元の株高の反動で、主力株に利益確定の売りが出ました。長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が強まったことも重石となりました。もっとも、利下げが米景気を支えるとの期待感は根強く、相場の下値は限定的でした。結局、NYDowは5営業日ぶりに小反落し、NASDAQは反発しました。
9月18日の日本市場では、円相場の下落や前日の米ハイテク株高を支えに、自動車株や半導体関連株に買いが入り、相場を押し上げました。ただ、FOMCや日銀の金融政策決定会合を間近に控えて持ち高調整の動きも強まり、午後には売りが優勢となる場面もありました。円相場が下げ渋ったことも重石となりました。日経平均は3営業日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は-11.0%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-3.2%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-10.2ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3710円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-9.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3570円ほど割安であることを示しています。
日経VIは29.77と前日より低下し、VIXは17.61と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.9、米国-0.8と日本が5.1ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)は1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.16ポイント(日経平均換算で58720円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率3.0%増で、速報値の2.8%増を上回りました。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、8月のISM製造業景況指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は10勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.2万人増で、市場予想の16.0万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.3%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ幅が拡大するという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅市場指数、7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。一方、7月の住宅着工件数は予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は5勝1負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
市場は、FRBが2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識しており、9月利下げ開始への期待を高めています。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を達成できる見通しがついたとして、利上げに踏み切りました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では9月12日 5.2082% → 9月13日 5.2027% → 9月16日 5.1249%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.83、PBRが1.30となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.7%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.3%で、こちらは3か月前より1.2ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.7%となり、日経平均の割安幅は990円から1000円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1000円~+50円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.81ポイントから2.83ポイントに拡大しました。ドル円相場は前日より円安ですが、日中は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBの利下げ幅を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています。
9月18日の米国市場では、FOMCおよびパウエルFRB議長の会見や、8月の住宅着工件数のほか、ゼネラル・ミルズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを690円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+600円(現在36800円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+300円(現在35740円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、以前として高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は3日ぶりに反発しました。明日は、FOMCの結果と円相場次第で、上下どちらかに大きく動きそうです。
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