日経平均の予想: [2023/05/14]今後の日経平均の見通し

Tuesday, May 14, 2024

[2023/05/14]今後の日経平均の見通し

[市況]

513日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。514日の日経平均先物は、前日比160円高で寄り付くと、午前中は370円高から20円高と上昇幅を縮め、午後は40円安まで下落したのち230円高まで戻して、結局、190円高で取引を終了しました。日経平均の終値は176円高の38356円で、出来高は21.13億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。

 

513日の米国市場では、NYDowが前週末までに8連騰しているとあって、ホーム・デポやマクドナルドなど主力株の一部に持ち高調整や利益確定目的の売りが出ました。卸売物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)の発表を間近に控え、様子見ムードが強まった面もありました。一方、好材料が出た半導体株やアップルは買われました。結局、NYDow9営業日ぶりに反落し、NASDAQは反発しました。

514日の日本市場では、前日の米ハイテク株高が好感され、半導体関連など値がさ株の一角が買われました。外国為替市場の円安ドル高進行も追い風となりました。ただ、米国で重要な経済指標が発表されるのを前に買い手控えムードが強まったほか、国内企業の決算がふるわないことも投資家心理の重石となりました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+9.3%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+9.9%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.1ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が420円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+2.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が810円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.23と前日より低下し、VIX13.60と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.8、米国-0.2と日本が4.6ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.07ポイント(日経平均換算で93200円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率1.6%増で、市場予想の2.4%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、2月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、4月のISM製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数は市場予想と一致しました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.5万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。また、失業率は3.9%で、前月の3.8%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、58 5.5871% 59 5.5851% 510 5.5835%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER17.42PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.5%となり、これは3か月前より0.5ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.9%で、こちらは3か月前より9.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.6%で、日経平均の割安幅は1650円から1400円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1650円から-1110円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.56ポイントから3.53ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的にもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

514日の米国市場では、4月の生産者物価指数(PPI)やパウエルFRB議長の発言のほか、アリババ・グループやホーム・デポなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを70円ほど下回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。目先は、25日線+300円(現在38750円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在37940円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っており、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は、やや弱まりました。きょうの日経平均は反発しましたが、国内企業の決算発表が一巡するまでは、やはり積極的な買いは入りにくいようです。



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