[市況]
4月24日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。4月25日の日経平均先物は、前日比500円安で寄り付くと、午前中は390円安から710円安と下落幅を拡げ、午後は620円安から850円安と下落幅を拡げて、結局、830円安で取引を終了しました。日経平均の終値は831円安の37628円で、出来高は15.94億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
4月24日の米国市場では、長期金利の上昇を受けて株式の相対的な割高感が意識され、積極的な買いは手控えられました。一方で、新モデルの生産を25年前半にも始めると発表したテスラなど、個別に材料が出た銘柄が買われ、相場を支えました。結局、NYDowは5営業日ぶりに反落し、NASDAQは小幅に3日続伸しました。
4月25日の日本市場では、前日の株価急伸の反動で、戻り待ちの売りや利益確定の売りが優勢となりました。ファナックやキヤノンなど一部主要企業の決算がふるわず、企業業績全体への警戒感が強まったことも株売りを促しました。加えて、米株価指数先物が軟調に推移したことも重石となりました。日経平均は大幅に反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下にあり、9日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
総合乖離率は+3.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+8.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、25日線の下にあり、9日線を下回りました。
NYDowは、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.3ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が490円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+2.9ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1090円ほど割高であることを示しています。
日経VIは21.46と前日より上昇し、VIXも15.97と前日より上昇しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.2と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)は0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.53ポイント(日経平均換算で108380円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.2%増を上回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。
経済指標を見てみます。
4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、3月の鉱工業生産指数は市場予想と一致しました。一方、3月の耐久財受注、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比30.3万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。また、失業率は3.8%で、前月の3.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
市場は、FRBが2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、4月19日 5.5880% → 4月22日 5.5845% → 4月23日 5.5851%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが16.39、PBRが1.49となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.6%で、こちらは3か月前より2.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落率以上に下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.1%となり、日経平均の割安幅は1180円から2040円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-2040円から-1180円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.74ポイントから3.77ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。
ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています。
4月25日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1~3月期のGDP、3月の中古住宅販売仮契約指数のほか、アルファベット、マイクロソフト、インテル、アストラゼネカ、キャタピラー、サウスウェスト航空などの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを690円ほど下回り、下値は想定ラインを340円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在38240円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+300円(現在37360円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っており、前日比で上昇しました。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は大幅に反落しました。日銀の金融政策決定会合や、主要企業の決算の内容が判明するまでは、本格的な反騰とはなりにくいようです。
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