日経平均の予想: [2023/04/02]今後の日経平均の見通し

Tuesday, April 02, 2024

[2023/04/02]今後の日経平均の見通し

[市況]

41日、NYダウは下落し、NASDAQは上昇しました。42日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中は40円安から320円高の間で上下し、午後は100円高から130円安の間で上下して、結局、50円高で取引を終了しました。日経平均の終値は35円高の39838円で、出来高は17.36億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を7日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。

 

41日の株式市場では、パウエルFRB議長が先週末に「利下げを急ぐ必要はない」と発言したことや、3月のISM製造業景況指数が市場予想を上回ったことなどを背景に、インフレの沈静化が遅れ、FRBの利下げが遠のくとの見方が強まり、株売りにつながりました。一方で、ハイテク株の一部は買われました。NYDow3営業日ぶりに反落し、NASDAQは小幅に反発しました。

42日の日本市場では、国内機関投資家の益出しの売りが引き続き重石となるなか、前日の米半導体株高や外国為替市場の円安ドル高進行を受けて半導体関連株や輸出株に買いが入り、相場を支えました。日経平均は下落に転じる場面もありましたが、結局は小幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は+24.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+16.7%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+3.2ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1270円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+6.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2670円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.15と前日より低下し、VIX13.65と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.3と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.36ポイント(日経平均換算で112320円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.2%増を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

3月のISM製造業景況指数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産、2月の消費者物価指数は市場予想を上回りました。一方、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、325 5.691% 326 5.5710% 327 5.5635%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.94PBR1.53となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.7%で、こちらは3か月前より3.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.7%となり、日経平均の割安幅は910円から690円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-910円から+80円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.46ポイントから3.59ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

42日の米国市場では、2月の製造業受注や、2月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを80円ほど下回り、下値は想定ラインを340円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在40130円近辺)が上値の目安に、25日線-300円(現在39470円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは変動率の高まりを示す20を下回っており、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は、強い状態です。引き続き、日経平均が25日線を大きく割り込まずに反転できるかどうかが、目先の注目点です。



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