[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、金融緩和縮小懸念後退と好調な7-9月決算発表が好感され、上昇しました。一方、中長期的には、米国経済の回復に伴う金融緩和縮小による新興国市場の下落と信用収縮懸念、中東の地政学的リスクの高まり、中国の景気減速とシャドーバンキング問題、米国の財政の崖問題の再燃などに引き続き注意が必要です。
2014年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.31ポイント割安となります。2014年のOECDの実質GDP予想値を基にすると、日本市場はやや割安と考えられます。割安の要因はS&P500のPERが15.0で、日経平均採用銘柄の今期予想PERの15.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2014年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ0.3%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが16.2程度になる(日経平均が14810円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④OECDによる日本の2014年GDP予測値(現在+1.4%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場は中長期的には青信号で短期的にも青信号が点灯しています。今週は、9月の鉱工業生産、9月の小売売上高、10月のADP雇用統計、10月のISM製造業景況指数、住宅関連指標や7-9月の企業決算発表が株式相場に影響しそうです。NYDowが年初来高値を更新できるか否かに注目する必要があります。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は4-6月期の決算発表に伴い前年比+47%と大幅な伸びとなっています。また、ROE予想値は4-6月期の決算発表に伴い8.7%と伸び率に大きな変化はありません。
③
日米の長期金利は低下して、日米の金利差は1.97%から1.90%と縮小し、為替は98円台から96円台と円高方向の動きでした。今週は96円台から98円台の動きが想定されます。
④
OECDによる日米の2014年の実質GDP伸び率は日本が+1.4%で、米国は+2.8%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.4ポイント劣ります。
⑤
10月3週は買い越しで、10月4週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうちが①が強気材料で③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、7.5ポイント割安となりました。先週比4.5ポイント割安幅は拡大しました。日本市場は米国市場に比べて弱い動きが拡大しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+3.5%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+6.5%となりプラス幅は縮小しました。3つがプラスですので中期トレンドは、”青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には”青信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、財政の崖問題、新興国の利上、住宅市況の低迷、雇用指標の停滞、南欧政府債務問題、金融緩和縮小懸念、中国のシャドーバンキング問題、新興国市場の下落と世界景気後退懸念、資源高、中東の地政学的リスクなどのリスク懸念は後退しているものの、米政府機関の一部閉鎖の景気への影響懸念などが残っています。ただ、好材料としては、米国経済が回復基調の中でも、FRBによる超低金利が1~2年先のインフレ見通しが2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで継続されることや、ECBによる無制限の国債購入と金利引き下げ余地、FRBによる無期限のMBSの購入表明、日銀による2%のインフレターゲットの設定と異次元の強力な金融緩和が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
目先の状況を分析すると、米暫定予算と連邦債務の上限引き上げ問題について来年まで引きのばされ、リスク許容度はやや上昇しつつあります。ここからは、7-9月決算内容、雇用統計など重要経済指標に関心が移ると思われます。金融緩和縮小懸念は後退し長期金利は目先低下しました。日米長期金利差が縮小し、円高要因でした。この面では、日本株にはマイナスでした。
先週の日経平均の下値は、想定した25日線を大きく下回りました。今週の日経平均は下値がボリンジャー・バンド-2σ(現在13850円近辺)で上値は25日線(現在14420円近辺)の間での動きが想定されます。
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