[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、連邦政府の債務上限について、与野党協議が進展するとの期待感から、上昇しました。一方、中長期的には、米国経済の回復に伴う金融緩和縮小懸念、中東の地政学的リスクの高まり、中国の景気減速とシャドーバンキング問題、米国の財政の崖問題及びEU諸国の緊縮財政による消費や雇用の停滞、新興国市場の下落による信用収縮懸念などに引き続き注意が必要です。
2014年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.31ポイント割安となります。今週から2014年のOECDの実質GDP予想値を使用しますが、この値を基にすると、日本市場は割安と考えられます。割安の要因はS&P500のPERが15.0で、日経平均採用銘柄の今期予想PERの15.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2014年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ0.3%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが16.6程度になる(日経平均が14920円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④OECDによる日本の2014年GDP予測値(現在+1.4%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は陽線となりました。200日線の上に在り、日足は一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場は短期的に黄信号で、中長期的には青信号が点灯しています。今週は、10月のNY連銀製造業景気指数、9月の鉱工業生産、住宅関連指標や7-9月の企業決算発表が株式相場に影響しそうです。NYDowが一目均衡表の雲の上で推移できるか否かに注目する必要があります。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は3月期の決算発表に伴い前年比+47%と大幅な伸びとなっています。また、ROE予想値は4-6月期の決算発表に伴い8.7%と伸び率に大きな変化はありません。
③
日米の長期金利は低下して、日米の金利差は2.00%から2.04%と拡大し、為替は96円台から98円台と円安方向の動きでした。今週は97円台から99円台の動きが想定されます。
④
OECDによる日米の2014年の実質GDP伸び率は日本が+1.4%で、米国は+2.8%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.4ポイント劣ります。
⑤
10月1週は売り越しで、10月2週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうちが①③⑤が強気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.4ポイント割安となりました。先週比3.1ポイント割安幅は縮小しました。日本市場は米国市場に比べて弱い動きに変わりましたが、中長期的にはほぼ均衡しています。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+13.1%となり先週と比較してプラス幅が拡大しました。200日移動平均線乖離率は+10.5%となりプラス幅は拡大しました。3つがプラスですので中期トレンドは、”青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には”黄信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、新興国の利上、住宅市況の低迷、雇用指標の停滞、南欧政府債務問題、中国のシャドーバンキング問題、新興国市場の下落と世界景気後退懸念、資源高、中東の地政学的リスクなどのリスク懸念は後退しているものの、米国の財政の崖問題と金融緩和縮小懸念などが残っています。ただ、好材料としては、米国経済が回復基調の中でも、FRBによる超低金利が1~2年先のインフレ見通しが2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで継続されることや、ECBによる無制限の国債購入と金利引き下げ余地、FRBによる無期限のMBSの購入表明、日銀による2%のインフレターゲットの設定と異次元の強力な金融緩和が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
目先の状況を分析すると、米暫定予算未成立による政府機関の一部閉鎖と連邦債務の上限引き上げ問題について与野党合意期待から、リスク許容度は上昇しつつあります。また、雇用統計など重要経済指標は発表されなかったものの長期金利は目先上昇しました。日米長期金利差がやや拡大し、円安要因でした。この面では、日本株にはプラスでした。
先週の日経平均は、ほぼ想定したボリンジャー・バンド-2σと25日線の範囲で推移し、上値、下値とも想定ライン近辺となりました。今週の日経平均は下値が25日線(現在14350円近辺)で上値はボリンジャー・バンド+2σ(現在13930円近辺)の間での動きが想定されます。
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