[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、予想以上の雇用統計の発表で上昇しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2012年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が1.39ポイント割高となっています。その要因はS&P500のPERが12.0で、東証1部平均のPERの17.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の復興などの影響で日本の2012年のGDP予想値が3.9%程度になる(又は、日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ1.6%増加する)ことが織り込まれているとも解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在-0.9%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週も、EU諸国の国債の金利動向と経済指標発表の影響が米株式相場に影響しそうですが、NYDowの短期上昇トレンドの変化に注目する必要がありそうです。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は10-12月期の決算発表に伴い-15.1%と2桁のマイナスとなり、今期ROE予想値も7.4%から5.4%へ悪化しています。
③
日米とも長期金利は下落傾向となり、日米の金利差は0.93%から0.98%へ拡大し、為替は76円台で前半円高で後半円安方向の動きでした。今週は76円台から77円台の動きとなりそうです。
④
OECDによる日米の2012年の実質GDP伸び率は改定され日本が+2.1%で、米国は+1.9%と予想されていますので、この面では日本市場の0.2ポイント好材料です。
⑤
1月4週は買い越しで、2月1週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①が強気材料で②③が弱気材料でした。今週も、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、12.1ポイント割安となりました。先週比3.2ポイント割安幅は拡大しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は-2.7%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。総合乖離率は+2.5%となりプラス幅が縮小しました。2つがプラスですので中期トレンドは、”黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的にも"青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上欧州の政府債務問題、雇用指標の停滞、などのリスクはやや後退しているものの世界景気後退懸念、不動産市場の低迷が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が2014年後半まで継続する見通しの中、10-12月期の米企業決算は概ね好調である点が挙げられます。一方、日本市場の10-12月期の企業決算では今期業績の伸び率が鈍化してきており、日本市場が弱い一因となっています。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドとなっています。日本市場は中期もみ合いで、短期は上昇トレンドとなっています。
目先の状況を分析すると、EUの政府債務問題による金融危機については、LIBORのドル3ヶ月物金利は下降に転じ、金融危機懸念は落ち着いてきました。金利低下傾向が続くか要注目です。一方、先週の為替は円高から雇用統計の発表で円安方向へと動きました。日米金利差はやや拡大傾向で円高圧力は弱まる気配があります。
先週の米国市場は、雇用統計の改善で上昇しました。
先週の日経平均は、上昇中のボリンジャーバンド+1σと+2σの間でもみ合う動きとなりました。今週の米国市場は主要な経済指標の発表が少ない為、EU財政問題と個別材料に眼が向きそうです。今週の日経平均も米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうでが、週初は上昇して始まりそうです。今週の日経平均は上値が上昇中のボリンジャーバンド+2σ(現在8990円)近辺で、下値はボリンジャーバンド+1σ(現在8810円)近辺が想定されます。
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