日経平均の予想: [2011/09/04]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, September 03, 2011

[2011/09/04]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場は、週初ギリシャの銀行の合併で上昇したものの、週末に注目された8月の雇用統計が予想以下となり、結局下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。

2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は3.01ポイント割高となりました。その要因はS&P500PER13.0で、東証1部平均のPER13.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が2.1%程度になる(又は、日米のGDP伸び率差がOECD予想値より3.0ポイント縮まる)ことが織り込まれているとも解釈できます。

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇、

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大、

④日本の2011GDP予測値(現在-0.9%)の上方修正、

⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、

先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、8月のISM非製造業景況指数、7月の貿易収支、7月の卸売在庫などが株式相場に影響しそうですが、11000ドルの下値支持線を割るか否かが今後を占う上でカギとなりそうです。

日経225採用銘柄の今期予想増益率は+17%ですが、今期ROE予想7月の鉱工業生産値は7.9%から7.4%へやや悪化しています。

日米とも長期金利は下降傾向で、日米の金利差は1.09%から0.93%へ縮小し、為替は77円から76円台で推移しました。今週も円高圧力が強い中、介入警戒感も強く76円台から77円台でもみ合う動きとなりそうです。

OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.9%で、米国は+2.6%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.5ポイント分の弱気材料です。

84週は売り越しで91週も売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。

5つのポイントのうち①③⑤が弱気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.7ポイント割安となりました。先週比1.8ポイント割安幅は縮小しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-9.3%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。総合乖離率は-16.5%となりマイナス幅が縮小しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在りますので、短期的トレンドには"黄信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]

米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞、世界景気後退懸念、欧・米の政府債務問題が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が2013年まで継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドとなっています。日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いとなっています

目先の状況を分析すると、EU政府債務問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は上昇ピッチを上げており要警戒域に入りました。一方、先週の日米金利差は縮小し、為替は円高圧力が強い状況です。

先週、NYDow817日の高値の11530ドルを上回まわり、Wボトムを確認できましたので、週末の大幅下落した後でもチャートは崩れていません。ただ、下値の支持ラインの11050ドルを下回ると売り方が勢いづきそうです。今週8日に予定されているオバマ大統領の景気対策の発表が市場にどう評価されるかがカギとなりそうです。ただ、雇用統計の悪化で、次回FOMCで追加の金融緩和策を織り込む動きも出そうですので、一方的な下げは考えづらい面もあります。

今週の日経平均も、米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。週初はCMEにさや寄せして8800円前後までの下げもありそうですが、その後は戻す場面もありそうです。


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