[市況]
6月10日、NYDowとNASDAQは下落しました。6月11日の日経平均先物は、前日比1260円安で寄り付くと、午前中は1990円安から150円安と下落幅を縮め、午後は810円安から70円高と一時プラスに転じて、結局、20円安で取引を終えました。日経平均の終値は38円高の64217円で、出来高は24.15億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。
6月10日の米国市場では、米軍が、自国の攻撃ヘリ撃墜への対抗措置として「イランへの『自衛的な攻撃』を始めた」と発表したことから、中東情勢の悪化を警戒した売りが広がりました。原油先物相場の上昇も相場の重石となりました。また、AI・半導体関連をはじめハイテク株も利益確定の売りに押されました。NYDowは3営業日ぶりに反落し、NASDAQは大幅に続落しました。
6月11日の日本市場では、中東情勢の悪化懸念を背景に前日の米株式市場で主要3指数がそろって下落した流れを受け、主力株を中心に売りが先行しました。日経平均の下げ幅は一時1800円を超えましたが、売り一巡後はAI・半導体関連の一角に押し目買いが入り、急速に下げ渋りました。海外短期筋による株価指数先物への買いも支えとなり、日経平均は結局、小幅ながら反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+31.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+21.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均乖離率の差は、+14.4ポイントとプラス幅を拡げ、日平均が9250円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+17.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均11430円ほど割高であることを示しています。
日経VIは38.22と前日より上昇し、VIXも22.23と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が不安を強めているとされる目安の20を上回っています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-3.08、米国+0.03と日本が3.11ポイント割安ですが、OECDの2026年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.2、米国が+4.7)は1.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.61ポイント(日経平均換算で25060円)割安となっています。
市場は現在、「AIへの大規模投資の合理性」「中東や南米、ウクライナをめぐる地政学的リスク」「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP改定値は前期比年率1.6増で、速報値の2.0%増から下方修正されました。また、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
米国の経済指標は:
4月の製造業受注、5月のISM非製造業景況指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月の消費者物価指数、4月の耐久財受注、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は10勝2負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという点では弱気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.2万人増で、市場予想の11万人増を上回りました。また、失業率は4.3%で、前月の4.3%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという点では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標は:
5月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想と一致しました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.83%で、市場予想の+1.0%を下回りました。住宅関連の指標は5勝1負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという点では弱気材料です。
欧米日の金融政策は:
FRBは、4月のFOMCでも政策金利を据え置きましたが、追加利下げには慎重な姿勢が示唆されました。ECBは、4月の会合でも利下げを見送り、中銀預金金利を2.00%に据え置きました。日銀は、4月の金融政策決定会合でも政策金利を0.75%に据え置きましたが、展望リポートはタカ派的と読み取れる内容でした。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.43、PBRが1.85となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは10.6%となり、これは3か月前より1.7ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+10.2%で、こちらは3か月前より9.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず小幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%となり、日経平均は990円の割安から150円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1440円~+690円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、1.86ポイントから1.88ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
6月11日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、5月の生産者物価指数(PPI)のほか、ECB定例理事会およびとラガルド総裁の会見などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利や原油価格も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを870円ほど下回り、下値は想定ラインを530円ほど下回りました。目先は、25日線+1300円(現在65360円近辺)が上値の目安に、25日線-1100円(現在62960円近辺)が下値の目安となります。
日経平均は小幅に反発し、かろうじて25日線の上を維持しました。日足は陽線で長い下ひげをつけましたが、下落リスクはまだ残っていると思われます。
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