日経平均の予想: [2023/10/15]今週の日経平均の見通し

Saturday, October 14, 2023

[2023/10/15]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、発表された消費者物価指数と中東情勢の地政学的リスクに起因する長期金利の動きに一喜一憂して、株価指数は週間ではまちまちとなりました。

週間変動率 NYダウ:+0.79% NASDAQ:-0.18% S&P500:+0.45%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.76ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER19.5に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.76ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER58.7程度になるか、又は、日経平均が122,710円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は90,400円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、90,400円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.6%となりました。3ヶ月前に比べて0.4ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+2.4%となりました。3ヶ月前に比べて+0.2%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は4.01から3.86に縮小したものの、ドル円は148円から149円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.54%上昇しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.96%で、米国は+3.40%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.44ポイント劣ります。

  10月第1週は買い越しでした。10月第2週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に2.3ポイント(日経平均に勘算すると740円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に8.0ポイント(日経平均に勘算する2590円程度)割高です。

 

NYダウ対する日本市場の強さは、この週に拡大しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 19.3 と上昇しました。 日経 VI は 週間で 21.0と上昇しました。日米市場とも不安心理は高まりました。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。日経平均の総合乖離率は+7.3%で、200日移動平均線との乖離率は+7.5%でした。2つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDow9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。

NASDAQは、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです。

日本市場はもみあいで、短期は下降トレンです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は147円台から149円台が想定されます。

 

今週の米国市場では、主要企業の決算シーズンの幕開けに注目が集まります。また、投資家はFRBの講演や、小売売上高、住宅着工件数、中古住宅販売件数、鉱工業生産などのデータに注目するでしょう。国際的には、英国、日本、ニュージーランドなどのインフレ率が注目されます。中国では、第3四半期GDP成長率、小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資、失業率、住宅価格指数が注目されます。最後に、英国は失業率と小売売上高を発表し、ドイツはZEW景況感指数を発表します。

 

先週の日経平均は、想定レンジを上ぶれしました。上値は想定ラインを270円ほど上回り、下値は想定ラインを500円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線(現在32270円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在30800円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は、中東情勢、米国政治、米長期金利の動き影響される週となりそうです。日米市場ともボラティリティーは上昇傾向で、日経平均は下落リスクが高そうです。


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