1月13日、NYDowとNASDAQは上昇しました。1月14日の日経平均先物は、前日比130円高で寄り付くと、午前中は120円高から230円高の間でもみあい、午後は130円高から200円高の間でもみあって、結局180円高で取引を終えました。日経平均の終値は174円高の24025円で、出来高は12.34億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
1月13日の米国市場では、買いが優勢となりました。「米政府が中国を為替操作国リストから外す方向で検討している」と報じられ、米中関係の修復が進むとの期待感が広がったことや、今週から始まる主要企業の決算発表への期待感が高まったことなどが支えとなりました。
1月14日の日本市場では、米中関係修復への期待感を背景に前日の米株式相場が上昇したことが好感され、買いが優勢となりました。外国為替市場で円相場が1ドル110円台まで下落したことも支えとなりました。利益確定の売りが出て上値は重くなりましたが、日経平均はおよそ1か月ぶりに終値で2万4000円を回復しました。
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+15.6%と前週末よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+9.5%と前週末よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末比横ばいの-3.9で、中長期的には日本市場が米国市場より940円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.40ポイント(日経平均で12910円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.40ポイント(日経平均で12910円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「中国の景気と、中国の景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の7~9月期のGDP確報値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増と一致しました。7~9月期の米企業の決算は、前年同期比-3.1%と2016年4~6月期以来のマイナスとなっています。
経済指標を見てみます。
12月のISM非製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、11月の鉱工業生産指数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、12月のISM製造業景況指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、11月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は4勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。
米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.5万人増で、市場予想の16.4万人増を下回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.5%から変わりませんでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
11月の中古住宅販売仮契約指数、11月の住宅着工件数、12月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、11月の新築住宅販売件数、11月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.2%で、市場予想の+2.1%を上回りました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られます。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは予防的利下げを3度おこない、当分、現行金利を維持する方針のようです。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を2019年11月から再開しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2015年5月までの2年5か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、1月8日 1.8340% → 1月9日 1.8478% → 1月10日 1.8377%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(2011年5月3日)の0.346%や2012年1月5日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の1.53%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.6、PBRが1.18となっています。7~9月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.1%となり、これは3か月前より0.7ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.9%で、こちらは3か月前より7.4ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.0%となり、日経平均の割安幅は430円から240円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-540円から-240円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は、1.88ポイントから1.86ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は市場予想を下回るものが目立ってきました。長期金利は下降に転じましたが、目先は一服しています。対ドルで円高傾向にありますが、直近は円安ぎみです。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。
1月14日の米国市場では、12月の消費者物価指数のほか、JPモルガン・チェース、シティ・グループ、ウェルズファーゴなどの四半期決算が注目されるでしょう。イランをはじめとする中東情勢の変化も、引き続き株式市場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲をやや上ぶれしました。上値は想定ラインとほぼ一致し、下値は想定ラインを290円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在24230円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在23850円近辺)が下値の目安になりそうです。
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