6月13日、NYDowとNASDAQは下落しました。6月14日の日経平均先物は、前日比140円安で寄り付くと、午前中は190円安から60円安の間でもみ合い、午後は90円安から240円安まで下げ幅を拡げて、結局210円安で取引を終えました。日経平均の終値は227円安の22738円で、出来高は14.97億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状態です。
6月13日の米国市場では、「トランプ政権が早ければ15日にも中国からの輸入品への追加関税を発動する可能性がある」と報じられたことを受け、貿易摩擦の深刻化を警戒した売りが優勢となりました。また、FOMCで年内の予想利上げ回数が引き上げられたことも嫌気されました。
6月14日の日本市場では、米国株の下落や、米中間の貿易摩擦が激化するとの懸念が重石となり、売りが優勢となりました。FOMCの結果に反して円相場が強含んだことも投資家心理を悪化させました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+7.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+3.7%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.9ポイント拡大して-5.8ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1320円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.91ポイント(日経平均で14930円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP改定値は前期比年率2.2%増で、速報値2.3%増から下方修正されました。1~3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標を見てみます。5月のISM非製造業景況指数、5月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、4月の製造業受注、4月の耐久財受注、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は3.8%で、先月の3.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。5月の住宅市場指数は予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.8%で、市場予想の+6.5%を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、6月8日 2.3263% → 6月11日 2.3226% → 6月12日 2.3356%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年5月4日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.6、PBRが1.25となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より27.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%となり、日経平均の割安幅は320円から270円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-440円 から-270円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.92ポイントから2.92ポイントと横ばいですが、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
6月14日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、ECB理事会、5月の小売売上高のほか、ブロードコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、70円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在22910円近辺)、下値が25日線(現在22650円近辺)と想定されます。
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6月13日、NYDowとNASDAQは下落しました。6月14日の日経平均先物は、前日比140円安で寄り付くと、午前中は190円安から60円安の間でもみ合い、午後は90円安から240円安まで下げ幅を拡げて、結局210円安で取引を終えました。日経平均の終値は227円安の22738円で、出来高は14.97億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状態です。
6月13日の米国市場では、「トランプ政権が早ければ15日にも中国からの輸入品への追加関税を発動する可能性がある」と報じられたことを受け、貿易摩擦の深刻化を警戒した売りが優勢となりました。また、FOMCで年内の予想利上げ回数が引き上げられたことも嫌気されました。
6月14日の日本市場では、米国株の下落や、米中間の貿易摩擦が激化するとの懸念が重石となり、売りが優勢となりました。FOMCの結果に反して円相場が強含んだことも投資家心理を悪化させました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+7.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+3.7%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.9ポイント拡大して-5.8ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1320円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.91ポイント(日経平均で14930円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.91ポイント(日経平均で14930円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP改定値は前期比年率2.2%増で、速報値2.3%増から下方修正されました。1~3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標を見てみます。5月のISM非製造業景況指数、5月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、4月の製造業受注、4月の耐久財受注、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は3.8%で、先月の3.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。5月の住宅市場指数は予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.8%で、市場予想の+6.5%を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、6月8日 2.3263% → 6月11日 2.3226% → 6月12日 2.3356%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年5月4日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.6、PBRが1.25となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より27.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%となり、日経平均の割安幅は320円から270円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-440円 から-270円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.92ポイントから2.92ポイントと横ばいですが、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
6月14日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、ECB理事会、5月の小売売上高のほか、ブロードコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、70円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在22910円近辺)、下値が25日線(現在22650円近辺)と想定されます。
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