2月27日、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。2月28日の日経平均先物は、前日比130円安で寄り付くと、午前中は0円安から150円安の間でもみあい、午後は70円安から310円安と下げ幅を拡げて、結局280円安で取引を終えました。日経平均の終値は321円安の22068円で、出来高は15.42億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。
2月27日の米国市場では、売りが優勢となりました。FRBのパウエル議長が就任後初の議会証言において景気と物価に強気の認識を示したことから、長期金利が上昇し、株式相場にとっては重荷となりました。
2月28日の日本市場では、米国株安を受けて売りが先行しました。午前中こそ下値は限定的でしたが、午後に入ると、アジア市場の下落や米株価指数先物の下落を意識した売りが増えました。日経平均は安値引けとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線の上にありますが、25日線の下にあり、短期トレンドには黄信号が点灯しています。
日経平均は9日線の上にありますが、25日線の下にあり、短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は-0.1%とマイナスに転換し、200日線との乖離率は+4.3とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は-4.6ポイントで、中長期的には日本市場が米国市場より1020円ほど割安であることを示しています(前日比1.5ポイント縮小)。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.60ポイント(日経平均で19640円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.60ポイント(日経平均で19640円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10月~12月期のGDP速報値は前期比年率2.6%増で、予想の3.0%増を下回りました。10月~12月期の米主要企業の決算は、良好です。
経済指標を見てみます。2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のISM製造業景況指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、1月の耐久財受注、2月のニューヨーク連銀製造業景気指数、1月の鉱工業生産、1月の小売売上高、1月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝5負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすいという面ではやや弱気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.0万人増で、市場予測の18.0万人増を上回りました。一方、失業率は先月と同値の4.1%でした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げし易いという面では弱気材料です。
住宅関連では、1月の住宅着工件数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、2月の住宅市場指数は前月比横ばいで、市場予想と一致しました。一方、1月の新築住宅販売件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.3%で、市場予想の+6.3%と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2月22日 1.9436% → 2月23日 1.9562% → 2月26日 1.9841% と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、2018年2月26日に記録した1.9841%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.1、PBRが1.23となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.4%となり、これは3か月前より0.7ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+21.1%で、こちらは3か月前より9.3ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は10円の割高から30円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-60円 から+270円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.82ポイントから2.86ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。直近の米国の長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的にもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因であるはずですが、目先円高が進んでいます。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう方向です。
2月28日の米国では、10~12月期のGDP改定値や、2月のシカゴ購買部協会景気指数、1月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ロウズ、マイラン、セールスフォース・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、60円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線+100円 (現在22460円近辺)、下値がボリンジャーバンド-1σ+400円(現在21910円近辺)と想定されます。
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