[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、新興国を中心とした世界景気の先行き不透明感が強まり、リスク回避する動きが加速して大幅に下げました。一方、中長期的には、FRBによる金融緩和縮小による新興国市場の下落と信用収縮懸念、中東の地政学的リスク、中国の景気減速とシャドーバンキング問題、米国の財政の崖問題の再燃などに引き続き注意が必要ですが、米国の景気回復は続きそうです。
2014年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.85ポイント割安となっています。2014年のOECDの実質GDP予想値を基にすると、日本市場は割安と考えられます。割安の要因はS&P500のPERが16.3で、日経平均採用銘柄の今期予想PERの15.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2014年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ0.9%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが17.8程度になる(日経平均が17740円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④OECDによる日本の2014年GDP予測値(現在+1.5%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上限付近に在ります。米国市場は中長期的には青信号で短期的には赤信号が点灯しています。今週は、住宅関連指標やFOMC後の声明、10-12月期GDP、10-12月期企業決算発表などが株式相場に影響しそうです。NYDowが一目均衡表の雲の上で推移することができるか否かに注目する必要があります。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は7-9月期の決算発表に伴い前年比+59%と大幅な伸びとなっています。また、ROE予想値は10-12月期の決算発表に伴い9.4%と伸び率は前四半期に比べて0.4%増加しています。
③
日米の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.15%から2.09%と縮小し、為替は104円台から101円台と円高方向の動きでした。今週は103円台から100円台の動きが想定されます。
④
OECDによる日米の2014年の実質GDP伸び率は日本が+1.5%で、米国は+2.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.4ポイント劣ります。
⑤
1月2週は売り越しで、1月3週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうちが①③が弱気材料でした。今週は、①③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、3.5ポイント割安となりました。先週比割幅が0.5ポイント拡がりました。日本市場は米国市場に比べ中長期的に割安です。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+6.7%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+7.2%となりプラス幅は縮小しました。3つがプラスですので中期トレンドは、”青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には”赤信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、住宅市況の低迷、南欧政府債務問題、中国のシャドーバンキング問題、資源高、中東の地政学的リスクは後退しているものの、金融緩和縮小による新興国市場の下落と世界景気後退懸念、米国の債務上限問題再燃リスクが残っています。ただ、好材料としては、米国経済が回復基調の中でも、1~2年先のインフレ見通しが2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで継続されるとの目安に拘らず、FRBが超低金利を続ける意向を示したことや、無期限のMBSの購入表明、ECBによる無制限の国債購入の意思表示と金利引き下げ、日銀による2%のインフレターゲットの設定と異次元の強力な金融緩和継続が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。
目先の状況を分析すると新興国通貨の下落と世界景気後退懸念で、日米長期金利差は縮小し、為替は円高方向の動きとなりました。また、中国のPMIが予想以上に悪化したことも悪材料となりました。日本市場はリスクを取りにくい環境ながら、週初に目先の反発が期待できる中期上昇トレンドラインの下限に達すると考えられます。今週は正念場となりそうです。
先週の日経平均は週末に想定レンジの下限を下回って終了し、下値は一時想定レンジ下限を200円程度下回りました。今週の日経平均は、上値が25日線(現在15780円近辺)で、下値がボリンジャー・バンド-2σ-250円(現在14970円近辺)の間での動きが想定されます。
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