[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、12月の雇用統計予想外の伸び悩みで週初に下げたものの、その後は好調な経済指標で戻しました。一方、中長期的には、米国の景気回復が続きそうですが、FRBによる金融緩和縮小による新興国市場の下落と信用収縮懸念、中東の地政学的リスク、中国の景気減速とシャドーバンキング問題、米国の財政の崖問題の再燃などに引き続き注意が必要です。
2014年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.93ポイント割安となっています。2014年のOECDの実質GDP予想値を基にすると、日本市場は割安と考えられます。割安の要因はS&P500のPERが16.3で、日経平均採用銘柄の今期予想PERの15.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2014年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ0.9%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが18.6程度になる(日経平均が18480円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④OECDによる日本の2014年GDP予測値(現在+1.5%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は下髭の陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場は中長期的には青信号で短期的にも青信号が点灯しています。今週は、住宅関連指標や10-12月期企業決算発表が株式相場に影響しそうです。NYDowが25日線の上で推移することができるか否かに注目する必要があります。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は7-9月期の決算発表に伴い前年比+59%と大幅な伸びとなっています。また、ROE予想値は7-9月期の決算発表に伴い9.0%と伸び率は前四半期に比べて0.4%増加しています。
③
日米の長期金利は上昇し、日米の金利差は2.17%から2.15%と縮小し、為替は104円台から102円台と円高方向の動きでした。今週は103円台から105円台の動きが想定されます。
④
OECDによる日米の2014年の実質GDP伸び率は日本が+1.5%で、米国は+2.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.4ポイント劣ります。
⑤
1月1週は売り越しで、1月2週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうちが③が弱気材料でした。今週は、①③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、3.0ポイント割安となりました。先週比割幅が1.7ポイント拡がりました。日本市場は米国市場に比べ中長期的にやや割安です。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+14.9%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+10.3%となりプラス幅は縮小しました。3つがプラスですので中期トレンドは、”青信号"が点灯しています。日経平均は25日線近辺に在りますが、9日線の下に在ります。短期的トレンドには"黄信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には”青信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、住宅市況の低迷、南欧政府債務問題、中国のシャドーバンキング問題、資源高、中東の地政学的リスク、金融緩和縮小などの懸念は後退しているものの、雇用指標の停滞、新興国市場の下落と世界景気後退懸念、米国の債務上限問題再燃リスクが残っています。ただ、好材料としては、米国経済が回復基調の中でも、1~2年先のインフレ見通しが2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで継続されるとの目安に拘らず、FRBが超低金利を続ける意向を示したことや、無期限のMBSの購入表明、ECBによる無制限の国債購入の意思表示と金利引き下げ、日銀による2%のインフレターゲットの設定と異次元の強力な金融緩和継続が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。
目先の状況を分析すると12月の雇用統計が市場予想を大幅に下回り、米国市場の下げは限定的だったものの、為替は一時大きく円高方向に動きました。米予算は与野党合意されたものの、債務上限問題は残っています。また、中国市場の動向に注意が必要です。日米長期金利差は縮小し、為替は円高方向の動きとなりました。日本市場はややリスクを取りにくい環境と考えられます。
先週の日経平均は想定レンジをやや下振れし、下値は一時想定レンジ下限を150円程度下回りました。今週の日経平均は、上値がボリンジャー・バンド+1σ(現在16040円近辺)で、下値がボリンジャー・バンド-1σ(現在15440円近辺)の間での動きが想定されます。
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