[ファンダメンタルの現状認識]
今週の米国市場は、「財政の崖」からの転落回避と雇用統計で改善傾向が確認されたことで、大幅に上昇しました。また、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性はやや後退しています。
2013年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が1.76ポイント割高となり、割高幅が拡大しました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均の今期予想PERの17.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には日本の2013年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ1.8%分日本が加速する、又は、東証1部平均の今期予想PERが13.6程度に改善することが織り込まれているとも解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2013年GDP予測値(現在+0.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は陽線となりました。200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、重要な経済指標の発表はなさそうですので、決算発表が株式相場に影響しそうですが、NYDowやNasdaqが一目均衡表の雲の上の上で推移できるか否かに注目する必要があります。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は7-9月期の決算発表に伴い+35%と大幅な伸びとなっていまが。ROE予想値はこの3ヶ月で8.2%から6.5%へ伸び率が鈍化しています。
③
日米の長期金利は上昇して、日米の金利差は0.91%から1.08%と拡大し、為替は84円台から88円台で円安方向の動きでした。今週は86円台から88円台の動きが想定されます。
④
OECDによる日米の2013年の実質GDP伸び率は改定され日本が+0.7%で、米国は+2.0%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.3ポイント劣ります。
⑤
12月4週と1月1週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③⑤が強気材料でした。今週も、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、13.5ポイント割高となりました。先週比割高幅は0.4ポイント拡大しました。日本市場は米国市場に比べて強い動きが加速しています。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は+42.9%となり先週と比較してプラス幅が拡大しました。200日移動平均線乖離率は+17.3%となりプラス幅が拡大しました。3つがプラスですので中期トレンドは、”青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは200日、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。中期的には"青信号"で、短期的も”青信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、新興国の利上、資源高、住宅市場の低迷、中東政情、欧州政府債務問題、雇用指標の停滞、財政の崖などのリスクは後退しているものの世界景気後退懸念が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる超低金利が1~2年先のインフレ見通しが2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで継続するとの見通しの中、ECBによる無制限の国債購入とFRBによる無期限のMBSの購入表明が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
目先の状況を分析すると、LIBORのドル3ヶ月物金利は下降傾向でEUの政府債務問題による金融危機懸念は後退しています。ただ、引き続き、スペインの地方政府や金融機関の不良債権問題や各国の国債金利動向を見極める必要がありそうです。一方、先週の為替は米国長期金利の上昇傾向で、日米金利差は拡大し、円安方向の動きとなりました。
先週の日経平均の上値は想定したボリンジャー・バンド+3σに接近しました。今週の日経平均も米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。今週の日経平均の上値は、上昇中のボリンジャー・バンド+3σ(現在10870円近辺)で、下値はボリンジャー・バンド+1σ(現在10130円近辺)が想定されます。目先のテクニカル指標は買われ過ぎを示していますので、一服しても良い水準に達していると思われます。
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