日経平均の予想: [2011/121/11]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, December 10, 2011

[2011/121/11]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場は、EU首脳会議で債務危機対策が進んだとの見方から、上昇しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。

2012年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.2ポイント割安となりました。その要因はS&P500PER13.0で、東証1部平均のPER14.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の復興などの影響で日本の2012年のGDP予想値が1.8%程度になる(又は、日米のGDP伸び率差がOECD予想値より0.2ポイント拡がる)ことが織り込まれているとも解釈できます。

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇、

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大、

④日本の2011GDP予測値(現在-0.9%)の上方修正、

⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、

先週のNYDowの週足はEU首脳会議が一応評価され陽線となりました。今週は、EU首脳会議の結果がEU諸国の国債の金利にどう影響するかが米株式相場に影響しそうですが、Nasdaq 200日線を上回れるか否か今後を占う上でカギとなりそうです。

日経225採用銘柄の今期予想増益率は7-9月期の決算発表に伴い+4%と一桁台に低下し、今期ROE予想値も7.4%から6.6%へ悪化しています。

日米とも長期金利は上昇傾向ながら、日米の金利差は0.96%から1.06%と拡大したものの、為替は78円台から77円台へ円高方向に動きました。今週は77円台から76円台の動きとなりそうです。

OECDによる日米の2012年の実質GDP伸び率は改定され日本が+2.0%で、米国も+2.0%と予想されていますので、この面での差はありません。

115週は買い越しで121週は買い越ししだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。

5つのポイントのうち①②③が弱気材料でした。今週も、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、7.7ポイント割安となりました。先週比1.6ポイント割安幅は拡大しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-8.5%となり先週と比較してマイナス幅が拡大しました。総合乖離率は-9.7%となりマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線の上に在りますが、9日線下に在ります。短期的トレンドには"黄信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で中期的には"黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると、欧州の政府債務問題、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの世界景気後退懸念、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が2013年まで継続する見通しの中、7-9月期の企業決算は概ね好調である点と10-11月の経済指標が落ち着きてきた点が挙げられます。一方、日本市場の7-9月期の企業決算では今期業績の伸び率が鈍化してきており、日本市場が弱い一因となっています。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみ合いで、短期は上昇トレンドとなっています。日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いとなっています

目先の状況を分析すると、EU政府債務問題による金融危機については、LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇傾向が続いており、この面では落ち着いていません。一方、先週の為替は77円前半まで円高が進みました。日本国債売り圧力は弱まり日米金利差は拡大傾向ですが円高ぎみの展開でした。

先週の米国市場は、欧州債務問題に対する懸念後退で上昇しました。今週はNasdaq200日線を上に抜け、中期的な上昇トレンドに復帰できるか否かが注目点です。

先週の日経平均は予想通り上値がボリンジャーバンド+1σに抑えられ、25日線が下値の支持線となりました。今週の日経平均も、欧州債務問題に揺れる米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。目先は、引き続きボラティリティーの高い状況が続きそうですが、今週は上値がボリンジャーバンド+2σ(現在8870近辺)で下値が25日線(現在8520近辺)が想定されます


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